生理中の頭痛とは?月経片頭痛について

こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。

 

生理周期に伴って頭痛がみられませんか?「生理だからしょうがない・・・」こんな風に諦めてはいないでしょうか。

生理中に発生する頭痛の中でも「月経片頭痛(げっけいへんずつう)」は、多くの女性が抱える特有の問題です。

この頭痛は、通常の片頭痛と似ていますが、原因や治療方法に特徴があります。

今回は月経に伴う片頭痛について詳しく解説します。

 

月経片頭痛とは

 

月経片頭痛とは、生理周期と関係して起こる片頭痛のことです。

特に、月経が始まる2日前から3日目までの間に発生する片頭痛のことを言います。

女性の片頭痛患者の約60%がこのタイプの頭痛を経験しています。

 

 

片頭痛との違い

 

通常の片頭痛と月経片頭痛は発生タイミングや症状の強さ・持続時間、誘発因子が異なってきます。

 

 

セロトニンの作用

 

セロトニンは、脳内で血管収縮を調整する重要な神経伝達物質であり、頭痛と密接に関連します。

生理中はセロトニンのバランスが乱れやすく、血管が過剰に拡張し、こめかみのズキズキ感を引き起こします。

セロトニンの適切な調整が頭痛緩和の鍵となります。

 

 

CGRPの影響

 

片頭痛の引き金となるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、血管拡張を促し、神経を敏感にします。

生理中の頭痛では、セロトニンとCGRPの相互作用が重要な要因となります。

 

CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、片頭痛発症に深く関与するタンパク質です。

2021年よりCGRP製剤が日本で承認されました。

CGRP製剤は、この物質の活動を阻害し、片頭痛の発症を抑える新しい治療薬です。

予防薬として使用されることが多く、月経片頭痛にも有効性が確認されています。

 

 短期予防治療:アマージの使用

 

「アマージ」(ナラトリプタン)は、月経片頭痛の短期予防に効果的です。

生理が始まる1~2日前から服用することで、発作の予防が可能です。

 

 

低用量経口避妊薬(低用量ピル・OC)と片頭痛について

 

低用量経口避妊薬は、避妊のためにエストロゲンプロゲスチン(黄体ホルモン)を含むホルモン剤が配合されています。

この薬の副作用として、頭痛が挙げられることがあります。

前兆のある片頭痛をお持ちの方の場合、エストロゲンを含む避妊薬を使用すると血栓症のリスクが高まるため、基本的には使用が避けられます。

一方、前兆のない片頭痛の方については、年齢や喫煙などの血栓症リスクを慎重に評価した上で服用が可能です。

婦人科を受診する際には、片頭痛の有無を医師に伝えることで、より安心して適切な避妊薬を選ぶことができます。

頭痛のイラスト

 

月経片頭痛は、ホルモン変化やCGRPの活動が原因となる、女性特有の片頭痛です。

通常の片頭痛とは異なる特徴を持つため、適切な予防と治療が必要です。

アマージやCGRP製剤といった医薬品の活用、頭痛ダイアリーによる管理を組み合わせることで、症状の軽減や生活の質の向上が期待できます。

つらい頭痛にお悩みの方は、一度、「頭痛専門外来」の頭痛専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけてみてください。

 

2025年01月29日