こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
片頭痛は女性に多く、月〜年に数回不定期に起こる頭痛です。片頭痛の人口は10人に1人と言われています。
最も頻度の高い30歳女性では約20%に達すると言われており、決して特別な病気ではありません。
月に2回以上の頭痛発作がある片頭痛患者には、予防薬が推奨されています。
今回は予防薬のひとつである抗うつ薬について詳しく見ていきましょう。
抗うつ薬(アミトリプチン:商品名トリプタノール)
作用メカニズム
脳幹(中脳、延髄)から神経が発信されます。
これらの神経は三叉神経脊髄路尾側亜核や脊髄後角に到達し、痛みを抑制する物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)を放出します。
トリプタノールは、神経終末においてこのノルアドレナリン、セロトニン再取り込みを阻害し、脳内のセロトニン濃度を上昇することで予防します。
アミトリプチリンに関する3件のプラセボ対照無作為化比較試験(RCT)が行われています。これらの試験では、50~150mg/日を8週間、50~100mg/日を4週間、30~60mg/日を27週間の投与で、一貫して片頭痛の予防効果が報告されています。また、メタアナリシスでもその有用性が示されています。
アミトリプチリンとプロプラノロールの比較試験も2件行われ、8週間の治療では両者の予防効果はほぼ同等であることが示されました。6ヶ月以上の比較では、緊張型頭痛を伴う片頭痛患者において、アミトリプチリンがより高い有効率を示しています。
副作用
眠気、口渇、便秘、ふらつき、倦怠感、排尿障害、眼圧上昇、心拍数増加の報告があります。
通常うつ病で使用する用量よりも低用量(10〜20mg/日、就寝前)で使用します。
さらに、アミトリプチリンは、薬剤の使用過多による頭痛(MOH)や、緊張型頭痛を伴う片頭痛、睡眠障害を伴う片頭痛、うつに関連する頭痛にも効果的です。
特に、ベンゾジアゼピン系薬剤を服用している頭痛患者に対しては、睡眠改善を図りつつベンゾジアゼピンの減量・中止に使用されることがあります。
閉塞隅角緑内障
心筋梗塞の回復初期
尿閉(前立腺疾患など)
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を投与中の患者
妊婦への投与は、有益性がリスクを上回る場合に限ります。