認知症の方が寝てばかりいるとどうなる?傾眠の原因と対処法をわかりやすく解説

こんにちは、毎日もの忘れ外来をしている福岡県糟屋郡新宮町「しろうず脳神経外科」です。

 

もの忘れ外来をしていますと、「最近、認知症の家族が日中ずっと寝ている」「以前より活動量が減って心配」——そんな声をよく耳にします。
認知症の方が寝てばかりいるのは、必ずしも病気の進行だけが原因ではなく、体調や環境の影響も大きいのです。
この記事では、認知症に伴う傾眠(寝てばかりいる状態)の原因と、日常生活でできる対処法 について、脳神経外科医の視点からわかりやすく解説します。

 

「寝てばかりいる」=認知症が進んでいる?

 

認知症の方が日中に長時間眠ってしまう「傾眠(けいみん)」は、ご家族からよく相談を受ける症状です。
「病気が急に悪化してしまったのでは?」と心配される方も多いのですが、必ずしも認知症の進行だけが原因ではありません
お薬や生活リズム、体調など、いくつかの理由が重なって起こることもあります。

認知症で傾眠が起こる主な原因

  • ・脳の変化
    認知症では、記憶や判断力だけでなく「眠気をコントロールする脳の働き」も弱くなり、日中でも眠りやすくなります。

  • ・昼夜逆転(生活リズムの乱れ)
    夜眠れずに昼に眠る、といった睡眠リズムの崩れが起きやすくなります。

  • ・薬の影響
    睡眠薬や精神を落ち着ける薬には、日中の強い眠気を引き起こすものがあります。

  • ・体調や合併症
    脳梗塞や心臓・肺の病気、脱水や感染症などが原因で眠気が強くなることもあります。

  • ・気持ちの変化(うつ状態など)
    認知症の方は気分が落ち込みやすく、それが意欲の低下や眠気につながる場合があります。

無気力な人のイラスト(おばあさん)

受診を考えたほうがよいサイン

  • □ 急に寝てばかりになった

  • □ 呼びかけても反応が鈍い

  • □ 発熱、頭痛、手足のしびれや動かしにくさがある

  • □ 食欲が落ちたり、急にやせてきた

こうした変化がある場合は、認知症以外の病気が隠れている可能性 があります。早めに医師に相談しましょう。

 

ご家庭でできる工夫

  • ★朝の光を浴びて、生活リズムを整える

  • ★散歩や軽い体操で日中の活動量を増やす

  • ★水分・食事をしっかりとる

  • ★薬の影響がないか、主治医に相談する

  • ★昼は明るく、夜は静かで暗い環境を作る

 

まとめ

認知症の方が「寝てばかりいる」状態は、病気の進行だけでなく、薬や体調の影響で起こることも少なくありません。
大切なのは「以前との違い」に気づくことです。
不安を感じたときは、どうぞ一人で悩まず、当院までご相談ください。

 

2025年10月22日