こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
片頭痛が起きているとき、鎮痛薬を内服して痛みを抑えていきます。
しかし、片頭痛が頻回に起きることで生活上の支障をきたすことがあります。
そのような場合には片頭痛を起こさないようにするための予防の治療が必要となります。
片頭痛の予防薬は必要?
片頭痛の発作が月に2回以上、あるいは生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある場合は、予防治療を検討します。
副作用が少ない低用量から開始し、2~3カ月程度の時間をかけて効果を判定します。
・抗てんかん薬(バルプロ酸、トピラマート)
バルプロ酸:
抗てんかん薬ですが、片頭痛の予防薬として効果があります。
副作用として眠気があります。
飲み始めが特に眠気を感じやすいですが、継続していくと薬に体が慣れてきます。
500〜600mg/日の内服が勧められます。
トピラマート:
GABAの増強や神経細胞膜を安定させます。わが国では保険適用外です。
・カルシウム拮抗薬(塩酸ロメリジン)
脳血管の収縮抑制、血管透過性の改善効果がみられます。
カルシウム拮抗薬は血圧の薬ですが、塩酸ロメリジンは脳の血管に選択的に作用するため、血圧低下等はみられません。
10mg/日の服用で64.4%、20mg/日の服用で66.7%の患者が効果を実感したと報告されています。
さらに、片頭痛に伴う閃輝暗点や悪心・嘔吐などの前駆症状や随伴症状にも30%程度の改善が認められています。
副作用として徐脈、心不全があります。
・β遮断薬(プロプラノロール)
血管を拡張させることで予防効果がみられます。
血圧や不整脈の薬として使用されており、起立性調節性障害や低血圧の方には慎重投与となります。
心不全、喘息、房室ブロックには禁忌です。
片頭痛の薬であるリザトリプタンとは併用禁忌となっています。
妊娠中の片頭痛予防にも使えます。
30mg/日から開始として30〜60mg/日で調整します。
・抗うつ薬(アミトリプチン)
神経終末におけるノルアドレナリン、セロトニン再取り込みを阻害し、脳内のセロトニン濃度を上昇することで予防します。
副作用として眠気、口渇、便秘があります。
通常うつ病で使用する用量よりも低用量(10〜20mg/日、就寝前)で使用します。
・抗アレルギー薬(シプロヘプタジン)
抗アレルギー薬ではありますが、抗セロトニン作用によって、脳血管の収縮を抑え、頭痛発作の頻度を減少させます。
特に年少者の片頭痛の発作予防に用いられることが多いです。
発作予防の効果が現れるまでに少なくとも1〜2ヶ月はかかります。
・漢方薬
予防薬を飲むことに抵抗がある方は、漢方薬を内服することで片頭痛の予防を行うこともあります。
呉茱萸湯、桂枝人参湯、釣藤散、葛根湯、五苓散などが慢性頭痛に効果があると言われています。