こんにちは、毎日もの忘れ外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
もの忘れ外来をしていますと、「最近、認知症の家族が日中ずっと寝ている」「以前より活動量が減って心配」——そんな声をよく耳にします。
認知症の方が寝てばかりいるのは、必ずしも病気の進行だけが原因ではなく、体調や環境の影響も大きいのです。
この記事では、認知症に伴う傾眠(寝てばかりいる状態)の原因と、日常生活でできる対処法 について、脳神経外科医の視点からわかりやすく解説します。
認知症の方が日中に長時間眠ってしまう「傾眠(けいみん)」は、ご家族からよく相談を受ける症状です。
「病気が急に悪化してしまったのでは?」と心配される方も多いのですが、必ずしも認知症の進行だけが原因ではありません。
お薬や生活リズム、体調など、いくつかの理由が重なって起こることもあります。

・脳の変化
認知症では、記憶や判断力だけでなく「眠気をコントロールする脳の働き」も弱くなり、日中でも眠りやすくなります。
・昼夜逆転(生活リズムの乱れ)
夜眠れずに昼に眠る、といった睡眠リズムの崩れが起きやすくなります。
・薬の影響
睡眠薬や精神を落ち着ける薬には、日中の強い眠気を引き起こすものがあります。
・体調や合併症
脳梗塞や心臓・肺の病気、脱水や感染症などが原因で眠気が強くなることもあります。
・気持ちの変化(うつ状態など)
認知症の方は気分が落ち込みやすく、それが意欲の低下や眠気につながる場合があります。

□ 急に寝てばかりになった
□ 呼びかけても反応が鈍い
□ 発熱、頭痛、手足のしびれや動かしにくさがある
□ 食欲が落ちたり、急にやせてきた
こうした変化がある場合は、認知症以外の病気が隠れている可能性 があります。早めに医師に相談しましょう。
★朝の光を浴びて、生活リズムを整える
★散歩や軽い体操で日中の活動量を増やす
★水分・食事をしっかりとる
★薬の影響がないか、主治医に相談する
★昼は明るく、夜は静かで暗い環境を作る
認知症の方が「寝てばかりいる」状態は、病気の進行だけでなく、薬や体調の影響で起こることも少なくありません。
大切なのは「以前との違い」に気づくことです。
不安を感じたときは、どうぞ一人で悩まず、当院までご相談ください。
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このたび、当クリニックは令和5年10月17日に開院し、本日で2周年を迎えることができました。
これもひとえに、地域の皆さま、そして日々支えてくださる多くの方々のおかげと、スタッフ一同心より感謝申し上げます。
開院以来、「丁寧に話を聞き、安心して相談できる脳神経外科」を目指してまいりました。
頭痛やめまい、しびれ、物忘れなど、身近だけれど不安の大きい症状に対して、
できる限り専門的でわかりやすい医療を提供できるよう努めております。
これからも、地域の皆さまが「ここに来てよかった」と思っていただけるクリニックであるよう、
スタッフ一同、丁寧な診療と温かい対応を大切にしてまいります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
令和7年10月17日
しろうず脳神経外科
院長 白水 寛理
こんにちは、福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
「めまい」と一口に言っても、原因は耳の異常、脳の病気、さらには自律神経やストレスまで多岐にわたります。
「ただの疲れなのか」「重大な病気のサインなのか」判断に迷う方も多いでしょう。
今回は、めまいの代表的な原因と受診の目安について、脳神経外科の視点からわかりやすく解説します。
○回転性めまい(ぐるぐる回る感じ)
👉 内耳の異常(良性発作性頭位めまい症、メニエール病など)が多い
○浮動性めまい(ふわふわする、ふらつく感じ)
👉 脳の血流障害(脳梗塞、小脳障害など)や自律神経の乱れ
○立ちくらみ・失神型めまい(一瞬クラッとする)
👉 血圧低下、起立性低血圧、貧血など

○良性発作性頭位めまい症(BPPV)
頭の位置を変えた時に数十秒〜数分の強い回転性めまい
○メニエール病
めまい+耳鳴り・難聴を繰り返す
○前庭神経炎
風邪の後に強いめまいが数日続く
👉 耳鼻科領域で多くみられるが、症状が強ければ脳の病気との鑑別が必要。
○小脳・脳幹の脳梗塞や出血
急に起こる激しいめまい+手足のしびれ、ろれつが回らない、歩行困難
○椎骨脳底動脈循環不全
後頭部の血流が一時的に低下して起きるめまい
○脳腫瘍
慢性的なふらつきやバランス障害を伴う
👉 特に めまい+神経症状(しびれ、麻痺、言語障害) があれば救急受診が必要。
強いストレス、不眠、過労によって自律神経が乱れると、ふわふわしためまいや不安感を伴います。
「検査では異常なし」と言われても、生活習慣やメンタルケアが重要になることもあります。
✅ すぐに救急受診が必要なめまい
・突然の激しいめまい+手足のしびれ・言語障害・歩行困難
・吐き気・嘔吐が止まらない
・意識がもうろうとする
✅ 耳鼻科・脳神経外科の受診を考えるめまい
・めまいを繰り返す
・めまいと一緒に耳鳴り・難聴がある
・めまいが数日以上続く
✅ 自律神経・ストレスが関与するめまい
・検査で異常がないのにふらつきが長引く
・疲労・睡眠不足・ストレスと関係している

めまいは「耳からくるもの」と思われがちですが、脳の重大な病気のサインであることもあります。
「ただの疲れだろう」と自己判断せず、症状の経過や伴う症状を意識し、必要な場合は早めに受診しましょう。
1.日本神経学会「脳卒中治療ガイドライン」
2.日本めまい平衡医学会「めまい診療ガイドライン」
3.Neurology. 2014;82(21):2007-2015. “Differentiating central from peripheral causes of vertigo”
4.Lancet Neurology. 2019;18(9):829-840. “Vestibular disorders and their management”
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
血液がドロドロになると、血流が滞り、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが高まります。
ここでは、原因や予防法に加えて、今日からできるチェックと改善アクションも紹介します。
血液は体中に酸素や栄養を運ぶ大切な役割があります。
血液がドロドロ(粘度が高い状態)になると、血流が滞りやすくなり、脳や心臓の血管が詰まりやすくなります。
サラサラ血:血液がスムーズに流れる

ドロドロ血:血液が詰まりやすく流れが悪い

脱水:水分不足で血液が濃くなる
脂質の異常:コレステロールや中性脂肪が多い
高血糖・糖尿病:血糖値が高いと赤血球の働きが低下
ストレス・喫煙・運動不足:血管や血液に影響
加齢:血管や血液の柔軟性が低下
次の項目に当てはまる方は、血液がドロドロになっている可能性があります。
・手足が冷えやすい、しびれやむくみがある
・疲れやすい、息切れがする
・顔色が悪い
・めまいや頭痛がよく起こる
・高血圧、糖尿病、脂質異常症の既往がある
・家族に脳梗塞や心筋梗塞の既往がある
※2~3項目以上当てはまる場合は、生活習慣の見直しや医師への相談をおすすめします。
Q1. 水をあまり飲まなくても大丈夫ですか?
A. 脱水は血液をドロドロにする大きな原因です。こまめに水分を摂りましょう。
Q2. 脂っこい食事は控えたほうがいいですか?
A. はい。揚げ物や加工肉、脂質の多い食事は控えめにすると安心です。
Q3. 運動はどれくらい必要ですか?
A. 毎日20〜30分程度のウォーキングや軽い運動が血流改善に役立ちます。
Q4. ストレスも関係あるんですか?
A. あります。ストレスは血圧や血糖に影響し、血液をドロドロにしやすくするため、休息や趣味の時間も大切です。
1日1.5~2リットルの水分をこまめに摂る
スポーツドリンクや経口補水液で電解質も補う
青魚(サバ、サンマ、イワシ)でオメガ3脂肪酸を摂取
野菜・海藻・きのこで食物繊維を補う
ナッツや大豆製品でマグネシウムや良質なたんぱく質を摂る
揚げ物や加工食品は控えめに
毎日20~30分のウォーキング
自宅でできるストレッチやラジオ体操も有効
規則正しい睡眠
趣味やリラックス時間を確保
禁煙や過度な飲酒を避ける

★手足のしびれや顔の違和感がある
★めまいや頭痛が頻繁に起こる
★高血圧・糖尿病・脂質異常症がある
★家族に脳梗塞や心筋梗塞の既往がある
→ このような症状がある場合は、当院へご相談ください。
ドロドロ血は自覚症状が少ないですが、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます。
水分・食事・運動・睡眠など生活習慣で予防可能です。
気になる症状がある場合は、早めに脳神経外科の受診を。
今日からできるチェックやアクションを取り入れて、血液をサラサラに保ちましょう。
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こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
片頭痛は天気やストレスなどさまざまな要因で起こりますが、食べ物がきっかけになることもあります。
「食べたあとに頭痛が出やすい」など心当たりがある方は、普段の食事を少し意識することで症状の予防につながることがあります。

人によって違いはありますが、次の食品がきっかけになることが知られています。
・チョコレート(カカオ成分による作用)
・赤ワイン・アルコール(血管を広げる作用)
・チーズなどの熟成食品(チラミンという物質を含む)
・加工肉(ハム・ソーセージ・ベーコンなど)(保存料の影響)
・インスタント食品やスナック菓子(うま味調味料=MSG など)
👉 「必ず片頭痛になる」というわけではありません。自分にとっての“引き金”を知ることが大切です。
研究では、次のような栄養素を含む食品が片頭痛の予防に役立つ可能性があるとされています。
・マグネシウムを含む食品(ナッツ、ほうれん草、大豆製品)
・ビタミンB2を含む食品(卵、牛乳、レバー)
・青魚や亜麻仁油(オメガ3脂肪酸で炎症を抑える働き)
・規則正しい食事(空腹も片頭痛のきっかけになることがあります)
Q1. チョコレートは一口でも食べない方がいいですか?
A. いいえ。すべての人に片頭痛を起こすわけではありません。
「食べた量」や「体調」によっても違うため、自分が頭痛になりやすいかどうかを観察することが大切です。

Q2. 赤ワイン以外のお酒は大丈夫ですか?
A. ビールや日本酒などでも片頭痛を起こす方はいらっしゃいます。
アルコールそのものが血管を広げるため、控えめにした方が安心です。

Q3. チーズでも全部がダメですか?
A. 熟成されたチーズ(ブルーチーズ、チェダーなど)は片頭痛の引き金になりやすいですが、フレッシュチーズ(モッツァレラなど)は比較的安心といわれています。

Q4. コーヒーは片頭痛にいいの?悪いの?
A. 少量のカフェインは血管を収縮させるため、片頭痛の初期には効果があることもあります。
ただし、飲みすぎると逆に頭痛の原因になることもあるため、1日1~2杯を目安にしましょう。

🍳 朝食例
ほうれん草と卵のスクランブルエッグ(マグネシウム+ビタミンB2)
全粒パンと牛乳
くるみやアーモンドを少し添える
🥗 昼食例
サバの塩焼き定食(青魚のオメガ3脂肪酸)
玄米ご飯
みそ汁(大豆製品でマグネシウム補給)
🍲 夕食例
豆腐入り野菜スープ
サーモンのソテー(オメガ3+ビタミンB群)
サラダに亜麻仁油を少し加える
👉 難しい料理をしなくても、“マグネシウム・ビタミンB2・青魚”を意識するだけで片頭痛にやさしい食事になります。
○頭痛ダイアリーをつける:「何を食べたときに頭痛が出たか」を記録すると、自分の引き金食品が見つけやすくなります。
○無理な制限はしない:好きな食べ物を完全にやめるより、「量を減らす」など無理のない工夫が続けやすいです。
片頭痛のきっかけになる食べ物は人それぞれですが、一般的に「チョコレート・赤ワイン・チーズ・加工肉」などは注意が必要です。
一方で、マグネシウムやビタミンB2を含む食品をバランスよく取り入れることで、片頭痛の予防につながる可能性があります。
食生活を見直しても片頭痛が繰り返し起こる場合や、生活に支障がある場合は、医師の診察を受けることをおすすめします。
当院では片頭痛をはじめとする頭痛の診断・治療に対応しています。気になる方は当院までお気軽にご相談ください。

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こんにちは、毎日もの忘れ外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
もの忘れ外来をしていると、よく「認知症にならないためにはどうしたらいいのでしょうか?」という質問を受けます。認知症を予防するには様々な方法がありますが、そのうちの一つが食事です。
「ビタミンを摂ると認知症を予防できるの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。
最新の研究では、ビタミンB群(B12・B6・B1)や葉酸、ビタミンD が認知機能に関わっていることが分かってきています。不足すると認知機能の低下リスクが高まりますが、摂取すれば必ず認知症を予防・改善できるわけではありません。「不足しないように心がけること」が大切となってきます。

ビタミンは、人間の体を正常に保つために必要な栄養素です。体内で作ることが難しいため、食事から摂取する必要があります。
水溶性ビタミン(B群、Cなど):余分は尿として排出される → 不足しないように毎日摂取が大切
脂溶性ビタミン(A、D、Eなど):体内に蓄積されやすい → 摂りすぎると過剰症に注意
働き:神経や血液細胞を健康に保ち、DNA合成を助ける
不足すると:貧血、筋力低下、歩行障害、抑うつ、認知症リスク上昇
不足しやすい人:高齢者、ビーガン、肝疾患のある人
多く含む食品:肉、魚、卵、牛乳
働き:DNA合成や細胞分化に関与
不足すると:巨赤芽球性貧血、胎児の神経管閉鎖障害、認知症や動脈硬化のリスク増加
不足しやすい人:野菜不足の人、妊娠中の女性
多く含む食品:緑黄色野菜、豆類、果物
働き:たんぱく質の代謝や神経伝達物質の生成を助ける
不足すると:貧血、抑うつ、免疫力低下、皮膚の荒れ
不足しやすい人:アルコール多飲者、腎疾患・自己免疫疾患のある人
多く含む食品:鶏肉、魚、じゃがいも、果物
※研究では、血中のビタミンB6が高い高齢者は記憶力が良いと報告されていますが、サプリ摂取で改善するとは限りません。
働き:炭水化物からのエネルギー産生を助け、脳や神経をサポート
不足すると:疲労感、脚気、ウェルニッケ脳症、コルサコフ症候群(アルコール性認知症の一種)
不足しやすい人:アルコール多飲者、糖質摂取が多い人、運動量が多い人
多く含む食品:豚肉、豆類、玄米、全粒穀物
働き:骨や歯の健康維持、神経伝達や筋肉の働きを調整
不足すると:骨粗鬆症、骨折リスク増加、認知症リスク上昇
不足しやすい人:日光に当たる時間が少ない人、高齢者
多く含む食品:魚類、きのこ類、卵黄
ポイント:日光浴で体内でも生成されるため、屋外活動が重要
現時点では、「特定のビタミンを摂れば認知症が治る・予防できる」とは言えません。
しかし、ビタミン不足は確かに認知機能低下や認知症リスクにつながるため、不足しないようにすることが予防の第一歩です。

バランスの良い食事を心がける(肉・魚・野菜・穀物をバランスよく)
過剰摂取は避ける(特に脂溶性ビタミンは注意)
日光浴を取り入れる(ビタミンDの生成に役立つ)
必要に応じてサプリメントを活用(食事で不足しがちな人は医師に相談)
〇ビタミンB群(B12、B6、B1)、葉酸、ビタミンDは認知機能と関係が深い
〇不足すると認知症や認知機能低下のリスクが上がる
〇摂取すれば必ず予防・改善できるわけではないが、不足しないことが重要
食事や生活習慣を整えて、必要に応じて医師や栄養士に相談しながら、認知症予防に役立てていきましょう。
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こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
突然の激しい頭痛で倒れたら、それは“くも膜下出血”かもしれません。
くも膜下出血は、脳の血管が破れて脳の表面に出血が広がる病気です。発症すると命に関わることも多く、後遺症が残るケースも少なくありません。
実は、その前に「前兆」といえる症状が現れることがあります。今回は、くも膜下出血の前兆症状や注意すべきサインについてわかりやすく解説します。

くも膜下出血は、脳を取り巻く「くも膜」という部分に出血が広がる病気です。主な原因は、脳の血管にできた動脈瘤が破裂することです。
・発症すると致死率が高い(およそ3人に1人が亡くなる)
・助かったとしても後遺症が残る可能性がある
・中高年女性や高血圧の方に多い
このように、非常に危険な病気であるため、前兆症状を見逃さないことが大切です。

「くも膜下出血は突然起こる」と思われがちですが、実際には数日前から警告のような症状が出ることがあります。
・今までにない激しい頭痛(警告頭痛)
→ 「バットで殴られたような」「人生で一番強い頭痛」と表現されることもあります。
・吐き気や嘔吐
・光がまぶしい、視力の異常(動脈瘤が視神経を圧迫する場合)
・意識がぼんやりする、一時的にけいれんが出る
⚠️ 特に「突然の激しい頭痛」はくも膜下出血の危険信号です。片頭痛や緊張型頭痛と間違えて放置しないことが重要です。

次のような症状があれば、救急要請(119番通報)をためらわずに行ってください。
・急に強い頭痛が出た
・頭痛と一緒に吐き気や嘔吐がある
・意識がもうろうとする
・手足がしびれる、力が入らない
「少し休めば良くなるかも」と様子を見るのは危険です。早期発見・早期治療が命を救います。
くも膜下出血を完全に防ぐことは難しいですが、リスクを下げる生活習慣はあります。
・高血圧の管理(減塩、定期的な血圧測定、薬の服用)
・禁煙・節酒
・定期的な脳ドック(MRI・MRA)で動脈瘤の有無をチェック
家族にくも膜下出血の既往がある人は特に注意
健康診断に加えて、脳のチェックも定期的に行うと安心です。
自身に動脈瘤があるかどうかを知っておくことは今後の生活をする上で非常に大事になります。
一度脳の検査を受けておきましょう。気になる方は当院までご連絡ください。
〇くも膜下出血は命に関わる病気で、重い後遺症を残すこともある
〇前兆として「突然の激しい頭痛」「吐き気・嘔吐」「視覚異常」などが出ることがある
〇少しでも疑わしい症状があれば、迷わず救急要請することが大切
〇日頃から血圧管理や脳ドックでのチェックを心がけることで、発症リスクを減らせる
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こんにちは、毎日もの忘れ外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
「最近物忘れが増えた」「もしかして認知症かも…」と不安に思う方は少なくありません。
実は、うつ病でも物忘れのような症状が出ることがあります。医学的には「仮性認知症」と呼ばれることもあり、認知症と区別がつきにくいケースがあります。
この記事では、研究データを踏まえながら、うつ病の物忘れと認知症の違いをやさしく解説します。
うつ病といえば「気分が落ち込む」「やる気が出ない」といった症状がよく知られています。
しかし、実際には記憶力や集中力にも影響することがわかっています。
厚生労働省の調査では、うつ病の方の約3〜4割に「記憶障害」や「注意力の低下」が見られると報告されています。
そのため、「思い出せない」「ぼんやりしてしまう」という症状が、認知症の物忘れと間違えられることがあるのです。
・忘れてしまったことを本人が強く自覚している
・「また忘れた」と落ち込み、不安が大きい
・集中できないことが原因で「覚えられない」ことが多い
・気分の落ち込みや不眠、食欲低下などが一緒にみられる
・適切な治療を受ければ改善することが多い

一方、認知症は脳の神経細胞の障害によって起こるため、性質が異なります。
・物忘れに本人の自覚が乏しい
・「ご飯を食べたこと」など直前の出来事を忘れてしまう
・時間や場所、人の名前がわからなくなることがある
・お金の管理や料理、買い物など日常生活に支障が出る
・少しずつ進行していく
アルツハイマー型認知症では、患者さんの80%以上に「エピソード記憶(出来事の記憶)」の障害が見られると報告されています。
| 特徴 | うつ病による物忘れ | 認知症による物忘れ |
|---|---|---|
| 自覚 | 忘れたことを本人が強く意識して落ち込む | 本人はあまり気づかない |
| 原因 | 集中力・注意力の低下 | 記憶をつかさどる脳細胞の障害 |
| 経過 | 適切な治療で改善することが多い | 徐々に進行し悪化する |
| 併発症状 | 気分の落ち込み、不眠、食欲不振など | 日常生活に支障が出る |

医師は問診だけでなく、次のような検査を組み合わせて見分けます。
・MMSE(認知機能検査):30点満点で記憶や見当識を評価
・MoCA:軽い認知機能低下(MCI)の検出に有効
・PHQ-9 や HAM-D:うつ症状の重症度を評価
これらを参考に、「うつ病による一時的な物忘れ」か「認知症による進行性の物忘れ」かを総合的に判断します。
気分の落ち込み・意欲低下・不眠と物忘れが一緒にある → 心療内科・精神科へ
日常生活に支障が出る物忘れが続いている → 脳神経外科・神経内科へ
・うつ病でも物忘れは起こり、認知症と間違えられることがある
・うつ病は「自覚が強い・治療で改善する」
・認知症は「自覚が乏しい・進行して悪化する」
・迷ったときは専門医での検査が大切
物忘れが気になる方は、どうぞ一人で悩まずに当院へご相談ください。

参考文献
1.厚生労働省「うつ病の実態と治療に関する報告」
2.American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition (DSM-5).
Petersen RC, et al. Mild Cognitive Impairment: clinical characterization and outcome. Arch Neurol. 1999;56(3):303-308.
3.Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. Lancet. 2020;396(10248):413-446.
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こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
真夏の暑さが厳しくなると心配なのが 「熱中症」 です。
ニュースでも毎年取り上げられるように、誰にでも起こり得る身近な病気であり、注意していても気づかないうちに体の水分や塩分が失われて発症することがあります。
今回は、
・熱中症の症状と重症度
・応急処置の方法
・病院での治療内容
・回復までにかかる日数の目安
をわかりやすく解説していきます。
熱中症は、症状の強さによって「軽症」「中等症」「重症」に分けられます。
・Ⅰ度(軽症)
立ちくらみ、めまい、筋肉のけいれん、大量の汗。応急処置で改善することが多い。
・Ⅱ度(中等症)
頭痛、吐き気、倦怠感、虚脱感。点滴などの治療が必要になる場合がある。
・Ⅲ度(重症)
意識障害、けいれん、40℃近い高熱、多臓器障害。入院・集中治療が必要。

子ども
体温調節機能が未発達のため、短時間でも車内や炎天下で熱中症になりやすい。冬でも電気毛布などで発症することがある。
高齢者
暑さや喉の渇きを感じにくいため、室内でも発症しやすい。独居では発見が遅れることもある。
熱中症が疑われるときは、次の応急対応をすぐに行いましょう。
涼しい場所へ移動
日陰や冷房の効いた室内に避難する。
体を冷やす
衣服をゆるめ、首・脇の下・足の付け根に氷や保冷剤を当てて体温を下げる。
水分と塩分を補給
スポーツドリンクや経口補水液を少しずつ飲む。意識がない場合は無理に飲ませない。
→ 改善が見られない場合や、意識がもうろうとしている場合はすぐに病院を受診してください。

症状が強い場合、病院では以下の治療が行われます。
・氷枕や氷嚢を使った冷却療法
・点滴による水分・電解質補給

熱中症の回復期間は、重症度によって異なります。
・軽症(Ⅰ度)
応急処置で10分〜数時間程度で回復。
・中等症(Ⅱ度)
点滴や冷却でその日中に改善することが多い。入院が必要になることは少ない。
・重症(Ⅲ度)
入院が必要で、回復には少なくとも2〜3日以上。多臓器障害があると長期入院になることもある。
熱中症は一度回復しても再発する可能性があります。再び発症しないために、以下の点に注意しましょう。
・水分と塩分をこまめに補給する
・十分な睡眠・休養をとる
・発症時の状況(暑い環境・無理な運動など)を避ける
熱中症は正しい知識と迅速な対応で重症化を防げます。
「熱中症の回復にはどのくらい日数がかかるのか?」と気になる方も多いですが、軽症なら数時間、中等症でもその日中に回復することが多く、重症の場合は数日以上かかることがあります。
症状が改善しない、ぐったりしている、意識がもうろうとしている場合は、迷わず医療機関を受診してください。
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こんにちは、毎日もの忘れ外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
「最近、物忘れが増えた」「集中力が続かない」と感じていませんか?
もしかすると、それは スマホ認知症 のサインかもしれません。
スマホ認知症とは、スマートフォンの使いすぎによって脳が疲れ、一時的に記憶力や集中力が低下する状態のことです。正式な病名ではありませんが、現代社会で増えている新しい健康リスクとして注目されています。

一見、一般的な認知症と似ていますが「原因」と「進行性」が異なります。
一般的な認知症:加齢や脳の病気によって神経細胞が壊れ、進行していく病気
スマホ認知症:スマホの長時間利用による脳疲労が原因で、一時的に症状が出る
つまり、認知症は「脳の病気」であるのに対し、スマホ認知症は「脳の疲れ」による一時的なものです。

以下の項目にいくつ当てはまりますか?
〇約束をよく忘れる
〇漢字や簡単な計算が苦手になった
〇寝る直前までスマホを使っている
〇通知が鳴っていないのに音や振動を感じる
〇スマホがないと不安になる
3つ以上当てはまる場合は、スマホ認知症のリスクが高まっている可能性があります。

スマホ認知症を引き起こす主な原因は次の3つです。
SNSやニュース、動画など大量の情報を処理することで、脳がオーバーヒートしやすくなります。
スマホ画面から発せられるブルーライトは睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を妨げ、睡眠の質を下げます。
対面での会話は脳を活性化させますが、スマホ中心の生活では刺激が減り、認知機能の低下につながります。

スマホ認知症の症状
スマホ認知症では次のような症状が現れることがあります。
記憶力の低下:約束を忘れる、思い出せない
集中力・やる気の低下:本や勉強に集中できない
思考力の低下:簡単な作業に時間がかかる
コミュニケーション力の低下:言葉が出にくい、誤解が増える
自制心の低下:イライラしやすく、スマホ依存に陥る
免疫力の低下:睡眠不足から体調を崩しやすい

スマホ認知症は生活習慣を整えることで予防できます。
意識的に「デジタルデトックス」を取り入れ、脳を休ませましょう。
就寝1時間前はスマホを手放し、睡眠の質を高めることが大切です。
家族や友人との会話は脳に良い刺激を与え、認知機能の低下を防ぎます。
まとめ
スマホ認知症は、便利なスマホの使いすぎによって脳が疲れ、記憶力や集中力が低下する状態です。
放置すると、睡眠障害や体調不良、将来的な認知症リスクにつながることもあります。
「少し物忘れが増えたかな?」と思ったら、スマホとの付き合い方を見直すチャンスです。
今日からできる予防法を取り入れ、脳と体を健康に保ちましょう。
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