こんにちは、毎日頭痛外来をしています福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
頭痛があるとき、眠気も一緒に感じることがあると思います。
今回は片頭痛と眠気の関係性についてみていきましょう。
片頭痛と眠気は関係ある?
片頭痛が起こると、高確率で日中の眠気が起こります。
また、片頭痛を引き起こす原因の1つに睡眠不足や睡眠過多があります。一方で、片頭痛の患者さんにおいては睡眠時間を十分に確保することで、片頭痛が改善できることもわかっています。
片頭痛が起こると、以下の睡眠に関連する病気や症状が伴っているおそれがあります。
気になる症状のある方は、かかりつけ医へ相談するか、医療機関を受診しましょう。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時の気道が狭くなることによって、無呼吸もしくは低呼吸、いびきがみられ、日中の眠気や疲労感などを生じる病気です。(睡眠時無呼吸症候群についてはこちら)
早朝に頭痛の症状を有する片頭痛患者さんを対象にした研究によると、片頭痛患者さん8例のうち7例が閉塞性睡眠時無呼吸症候群の診断を満たしていたという報告があります。
睡眠時遊行症とは、睡眠中に自覚症状がない状態で無意識に歩き回る現象です。
子どもに多くみられますが大人になっても続く場合があります。ノンレム睡眠から不完全に覚醒した際に起こるとされており、睡眠中の行動によって危険が生じる場合は寝室の環境を整えるなどの対策が必要です。
片頭痛の中でも前兆のある片頭痛の場合に、睡眠時遊行症の既往歴が高かったとされています。
生活リズムの乱れや睡眠時間の不足が起こらないように生活リズムを整え、睡眠時間を十分に確保することが大切です。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)とは、夕方から真夜中にかけて、足を中心に痛みやかゆみなどが生じる病気です。足を動かすと一時的に違和感が消えるものの、静止しているとむず痒さが再び生じる場合があります。
レストレスレッグス症候群になると、眠気がきても眠りにつくことができません。
眠れても浅い眠りとなるため、寝不足を引き起こして日中における眠気の原因となる可能性があります。
ナルコレプシーとは、日中に耐えられないほどの眠気を感じたり、歩行中や食事中など、眠る状況ではない場面で眠気が繰り返し起こったりする睡眠障害です。
眠気以外には、幻覚や脱力感、睡眠麻痺(身体を動かせず声を出せない状態が数秒~数分続く)などが起こります。
ナルコレプシーと一次性頭痛の有病率を調べた研究によると、ナルコレプシーの患者さんにおいて片頭痛が確認されています。
ナルコレプシーの対策としては、夜に十分な睡眠をとるよう心がけ、睡眠の質を低下させるアルコール・カフェイン・ニコチンなどの摂取を控えましょう。日中の眠気で学業や仕事に支障がある場合は睡眠障害を専門的に診療する医療機関を受診することも大切です。
特発性過眠症は、日中の耐え難い眠気と居眠りがみられる状態です。夜間の長時間の睡眠をともなうケースとそうでない場合があり、目覚めのすっきり感がないのが特徴です。ナルコレプシーのように幻覚や睡眠麻痺などがみられる頻度は少なく、朝起きられない、失神などを伴うことも少なくありません。
特発性過眠症と一次性頭痛の有病率を調べた研究によると、特発性過眠症の患者さんにおいて片頭痛の有病率が高いことが報告されています。
特発性過眠症は自然に改善する場合もありますが、日常生活への影響がある場合は適切な治療を受けることが必要です。
片頭痛は、さまざまな睡眠障害と併発する場合があります。睡眠障害と片頭痛の間には、視床下部の関与が示唆されています。
また、片頭痛の発症には視床下部の活性化が三叉神経を刺激し、片頭痛を引き起こすと考えられています
この三叉神経の過剰な活性化を抑え、片頭痛の発症を予防する治療薬が「ヒト化抗 CGRP モノクローナル抗体製剤(「CGRP」頭痛薬剤)」です。
ヒト化抗 CGRP モノクローナル抗体製剤(「CGRP」頭痛薬剤)」は、眠気がくるといった副作用はほとんどありません。薬の影響で日中睡魔におそわれる可能性は低い薬です。
睡眠障害と片頭痛の改善を図るためには、睡眠の質を高めるための入眠環境の調整や、睡眠障害や片頭痛を治療する必要があります。
上記のような症状でお悩みの方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。