下の血圧は高いとどうなるの?低くていいの?

こんにちは、頭痛外来のある福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。

 

血圧を測定したことはありますか?会社の健診や温泉、ジム、商業施設など血圧を測定する機会があると思います。

上の血圧と下の血圧が出ますよね?みなさんは注意して見てみたことはありますか?

上の血圧が高いと高血圧なのはわかるけど、下の血圧が高かったり、低かったりした場合がどうなのかわからない…そんな悩みを持っている方も多いと思います。

今回は下の血圧について詳しく見ていきたいと思います。

 

上の血圧と下の血圧

収縮期血圧とは

上の血圧を正式には収縮期血圧といいます。収縮期血圧とは、心臓が血液を送り出した時に血管の壁が押される圧力のことです。心臓の近くにある太い血管に向けて血液が勢いよく押し出されるため、壁を押す力も強くなります。収縮期血圧が135mmHg以上の場合に高血圧といわれます。

 

拡張期血圧とは

下の血圧を正式には拡張期血圧と呼びます。拡張期血圧とは、心臓が太い血管に血液を送り込んでいない状態で血管の壁にかかる圧力のことを指します。上の血圧が135mmHg未満でも、拡張期血圧が85mmHg以上であれば高血圧となります。

 

下の血圧だけが高い場合

下の血圧が高くなる理由

下の血圧、いわゆる心臓が拡張している間も、血液は全身を巡り続けています。

その流れが滞ってしまっている状態、すなわち血流が悪くなっている場合に下の血圧が高くなります。

心臓から遠い場所にある手足の細い血管が硬くなると、それだけ血液が詰まりやすくなり、血流が悪くなります。その結果、心臓に近い太い血管が問題なくても、末梢血管が硬くなり血流が悪化することで下の血圧が高くなるのです。

血圧が高いのは高齢者というイメージを持ちがちですが、若年層の二次性高血圧症でも下の血圧だけが高いというのが目立つ場合もあります。

肥満運動不足アルコールの過剰摂取喫煙者などは特に上下ともに血圧が上昇します。

しかも若年層でこのような特徴を持つ人は、気づかないうちに末梢血管の動脈硬化が進み、下の血圧だけ高くなってしまいます。

また、更年期を迎えた女性にも同じような症状が見られることがあります。

女性ホルモンの一つであるエストロゲンには、血管をしなやかに保ち、拡張させる作用があります。

閉経するとともにこのエストロゲンが減少します。エストロゲンが減少することで血管の柔軟性が落ちてしまい、下の血圧が高くなってしまいます。

 

下の血圧が高い場合のリスク

下の血圧が高くても大丈夫と軽く考えてしまいがちですが、下の血圧だけ高い状態でも高血圧とみなされます。

一般的にいわれている高血圧と同様に動脈硬化のリスクがあるため、油断はできません。

血管は本来弾力性に富んでいますが、高血圧によって血管に負担がかかり続けることで、徐々に厚みを増して硬くなり、動脈硬化へとつながっていきます。

動脈硬化が起きても自覚症状はなく、気づかないうちに進行し、脳梗塞脳出血狭心症心筋梗塞不整脈心不全腎硬化症大動脈瘤などの全身に関わるさまざまな病気を引き起こしてしまいます。

 

下の血圧が低い場合

下の血圧が低くなる理由

下の血圧、いわゆる拡張期血圧が下がるのは、大きな血管が硬くなった場合です。

心臓が拡張する時には末梢の動脈が収縮してプールされていた血液を全身の臓器に送り出します。

動脈硬化が起こると、心臓の収縮期に末梢血管が十分に拡張せずにプールできる血液量が減少してしまい、血液が末梢臓器を素通りしてしまいます。

その結果、心臓拡張期にはプールされていた血液量が少ない上に、血管が硬くなり収縮性が低下しまうため、血管に加わる圧力が低下し、拡張期の血圧を低下させてしまいます。

理想的な血圧は120台/70台であり、拡張期血圧が60mmHgを下回る場合はある程度動脈硬化が進んでいる可能性があります。しかし、拡張期血圧が60mmHg以下でも、収縮期血圧も低い状態であれば、一旦様子をみてもよいです。

 

下の血圧が低い場合のリスク

下の血圧が低い場合、動脈硬化が原因であるため、下の血圧が高い場合と同様に脳疾患(脳梗塞、脳出血)心臓疾患(心筋梗塞、狭心症)腎臓疾患(腎不全、腎硬化症、尿毒症)下肢の疾患(閉塞性下肢動脈硬化症、壊疽)眼の疾患(眼底出血、浮腫)などの命に関わるような異常を起こすリスクがあります。

収縮期血圧が高いまま、拡張期血圧のみが下がる場合は、動脈硬化で血液が溜められない状態になっている可能性があるため、収縮期血圧と拡張期血圧の差が70mmHg以上ある人要注意です。

 

動脈硬化の改善には、生活習慣の見直しがとても重要

〇食生活の見直し:食塩摂取は1日6g未満にしましょう。

また、海藻類、野菜類、きのこ類、こんにゃく、大豆製品、玄米、雑穀類などの食物繊維の多い食品を積極的に摂ることで血中コレステロール値を下げることも重要となります。

動脈硬化の原因となる活性酸素を抑えるために、かぼちゃ、いちご、さけ、キウイ、小松菜などのビタミンC、ビタミンEを多く含む食品を積極的に摂りましょう。

逆に飽和脂肪酸、コレステロールを多く含む脂肪分が多い肉類、内臓系、卵黄、乳製品、加工食品、マヨネーズなどの摂取を控えましょう。

〇適度な運動:有酸素運動を1日30分程度継続して行うことで善玉コレステロールの増加や中性脂肪の減少が期待できます。

また、運動によりエネルギー消費ができるため、肥満の解消も期待でき、運動により筋肉量が増えることで基礎代謝が上がります。

週に3〜4回を目標に継続していきましょう。

〇禁煙:喫煙は百害あって一利なしです。喫煙によって動脈硬化を発症するリスクが3倍になります。

自身がタバコを吸っていなくても、近親者が喫煙しており、副流煙を吸うと、同様のリスクを与えます。

 

血圧が高くても症状はなにも感じません。

しかし、動脈硬化は進行してしまうと治療で改善させることはできません。

健診で指摘されている方はぜひ当院へ一度ご相談ください。

 

2024年11月11日