こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
電車に乗っているときや、学校で立って話を聞いているときなどに血の気が引く感じがあって倒れてしまうことがあります。
それは迷走神経反射が起こっていると考えられます。
今回は迷走神経反射について詳しく見ていきましょう。
迷走神経反射とは?
迷走神経というのは自律神経の一つの副交感神経に含まれます。
自律神経には交感神経と副交感神経にわかれます。
交感神経は血圧を上げたり、心拍数を上げたりする働きがあります。
副交感神経は逆に血圧を下げたり、心拍数を下げたり、消化管の働きを活発にする働きがあります。
血管迷走神経反射とは、この副交感神経の働きが不適切な時に起きてしまうものです。
ストレスがかかると通常は交感神経の働きが活発化します。
しかし、ストレス時に副交感神経の働きが活発になることがあり、これを血管迷走神経反射といいます。
これにより、心拍数が減少したり血圧が低下したりして脳が貧血状態となります。
その結果、血の気が引く、気分が悪い、冷や汗、めまいなどの症状が数分間続き、最終的には失神に至ります。
失神は体を動かしている時や寝ている姿勢で起こることは少なく、立位や座位で同じ姿勢を維持しているときに発生しやすいです。
そのほかにも痛み、恐怖、ストレス、疲労、環境(人ごみの中、閉鎖空間)などが挙げられます。
脱水や塩分制限、飲酒、薬(α遮断薬、硝酸薬、利尿薬、カルシウム拮抗薬など)が誘因になることもあります。
血管迷走神経反射では、誘因となるものを避けることや、失神を回避する方法などの生活指導が基本となります。
また、誘因となる薬剤を使用している場合は、その薬剤の減量または中止を検討します。
その他の治療としては、起立調整訓練法、薬物療法、ペースメーカー治療などがあります。
血の気が引く原因になる他の疾患
貧血
一般的にいう貧血とは違い、脳貧血のことを指します。
脳貧血の原因として起立性低血圧が挙げられます。
起立性低血圧とは、寝ている状態から立ち上がったときに、収縮期血圧(最高血圧)が20mmHg以上、拡張期血圧(最低血圧)が10mmHg以上低くなる場合のことを指します。
本態性と症候性に分類され、本態性は原因となる病気がないにも関わらず起立性低血圧が起こることを指します。
症候性は、糖尿病やパーキンソン病、多系統萎縮症、アルコール依存症、脱水症などの病気が原因となって起立性低血圧が起こることを指します。
まれに潜在的に癌があり、腫瘍に随伴して起立性低血圧が起こることがあります。
自律神経失調症
自律神経を構成する交感神経と副交感神経の2つの神経のバランスが保たれている状態が正常となります。
しかし、ストレスが心身に影響を及ぼすと、この2つの神経のバランスが崩れ、不調となります。これが、自律神経失調症となります。
自律神経失調症の症状は、大きく分けて身体的症状と精神的症状の2つがあります。
身体的症状
自律神経失調症の主な身体的症状の一つが手足のしびれとなります。
ストレスの蓄積によって筋肉の硬直や血行不良を引き起こし、結果としてしびれ症状を出現させます。
しびれ以外にもめまい・耳鳴り、立ちくらみ、息切れ、慢性的なだるさ、便秘・下痢、手足の震え・しびれ、睡眠の質の低下、肩こり・頭痛などの症状が一時的ではなく、慢性的に発生します。
その身体的症状の一つに血の気が引く感じがみられることがあります。
精神的症状
自律神経失調症の精神症状は、パニック障害・不安障害・不安神経症などと症状が似ています。
イライラ、不安感、落ち着きがない、情緒不安定、やる気が起きない、緊張状態などの症状が出現します。
また、精神的症状が悪化すると、うつ病の併発リスクが高まります。
更年期障害
更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下してしまいます。
脳の視床下部からはエストロゲンを出してと指令しても、エストロゲンが出ないため、脳に混乱が生じて、自律神経のバランスが崩れてしまうことで精神症状が起こるとされています。
さらに、更年期の女性は、仕事や育児、介護など生活環境が大きく変化する時期でもあるため、精神的不調をきたしやすいのです。更年期障害ではさまざまな症状が現れ、その中の一つに血の気が引く感じが挙げられます。
起立性調節障害
起立性調節障害は自律神経がうまく働かなくなることで起きる病態です。
自律神経には血管の太さを縮めたり、拡張させたりする働きがあります。
この自律神経が働くことで、血管を収縮させて足の血液を心臓に押し戻してくれます。
この自律神経がうまく働かなくなってしまうと、起立時に血管が十分に収縮できず、足に溜まった血液を心臓に押し戻してくれなくなり、脳への血流を十分に維持することができなくなります。その結果血の気が引く感じが出現します。
パニック障害
パニック障害にはパニック発作、予期不安、広場恐怖という3つの特徴的な症候があります。
パニック発作
パニック発作の特徴は、前ぶれのない突然の発作が起こることです。多くの場合10分以内でピークに達し、通常30分以内でおさまります。症状としては、胸がドキドキする、冷や汗をかく、身体や手足の震え、呼吸が早くなる、息が詰まる、胸の痛みや不快感、吐き気、めまい、ふらつき、非現実感、死の恐怖、しびれやうずき感などが挙げられます。
予期不安
パニック発作を一度経験すると、またあの恐ろしい発作が起きるのではないかという不安感が生じます。パニック発作にはこの予期不安が必ず伴い、発作を繰り返すほどにこの不安がさらに強くなっていき症状を悪化させていきます。
広場恐怖
パニック発作を経験した人が特定の場所や状況を避けるようになることを広場恐怖といいます。過去にパニック発作の起きた場所で、もう一度そこへ行くと発作が起きるのではないかと思い、避けるようになります。
いかがでしたでしょうか。血の気が引いて意識が遠のくことがあります。
脳腫瘍などが原因となっている可能性もあるため、血の気が引くような症状がみられる方は一度当院までご相談ください。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
片頭痛は女性に多く、月〜年に数回不定期に起こる頭痛です。片頭痛の人口は10人に1人と言われています。
最も頻度の高い30歳女性では約20%に達すると言われており、決して特別な病気ではありません。
月に2回以上の頭痛発作がある片頭痛患者には、予防薬が推奨されています。
今回は予防薬のひとつであるβ遮断薬について詳しく見ていきましょう。
β遮断薬(プロプラノロール:商品名インデラル)
作用メカニズム
β遮断薬の片頭痛予防効果の機序として、末梢血管や自律神経に対する作用が考えられており、血管を拡張させることで予防効果がみられます。動物実験では皮質拡延性抑制(CSD)の抑制効果が示されています。
インデラル(プロプラノロール)は、片頭痛の予防に使用されるβ遮断薬の一つです。
片頭痛予防が可能なβ遮断薬には、プロプラノロール以外にもチモロール、アテノロール、ナドロール、ビソプロロールなどが含まれますが、片頭痛に保険適用があるのは、プロプラノロールのみです。
用法・用量
1日20〜30mgから投与を開始し、効果が不十分な場合は60mgまで漸増します。服用は2〜3回に分けて経口投与します。
妊娠中の片頭痛予防にも使えます。
副作用
起立性調節性障害や低血圧の方には慎重投与となります。
心不全、喘息、房室ブロックには禁忌です。
片頭痛の薬であるリザトリプタンとは併用禁忌です。(プロプラノロールはリザトリプタンの血中濃度を上昇させるため)
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
片頭痛は女性に多く、月〜年に数回不定期に起こる頭痛です。片頭痛の人口は10人に1人と言われています。
最も頻度の高い30歳女性では約20%に達すると言われており、決して特別な病気ではありません。
月に2回以上の頭痛発作がある片頭痛患者には、予防薬が推奨されています。
今回は予防薬のひとつである抗うつ薬について詳しく見ていきましょう。
抗うつ薬(アミトリプチン:商品名トリプタノール)
作用メカニズム
脳幹(中脳、延髄)から神経が発信されます。
これらの神経は三叉神経脊髄路尾側亜核や脊髄後角に到達し、痛みを抑制する物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)を放出します。
トリプタノールは、神経終末においてこのノルアドレナリン、セロトニン再取り込みを阻害し、脳内のセロトニン濃度を上昇することで予防します。
アミトリプチリンに関する3件のプラセボ対照無作為化比較試験(RCT)が行われています。これらの試験では、50~150mg/日を8週間、50~100mg/日を4週間、30~60mg/日を27週間の投与で、一貫して片頭痛の予防効果が報告されています。また、メタアナリシスでもその有用性が示されています。
アミトリプチリンとプロプラノロールの比較試験も2件行われ、8週間の治療では両者の予防効果はほぼ同等であることが示されました。6ヶ月以上の比較では、緊張型頭痛を伴う片頭痛患者において、アミトリプチリンがより高い有効率を示しています。
副作用
眠気、口渇、便秘、ふらつき、倦怠感、排尿障害、眼圧上昇、心拍数増加の報告があります。
通常うつ病で使用する用量よりも低用量(10〜20mg/日、就寝前)で使用します。
さらに、アミトリプチリンは、薬剤の使用過多による頭痛(MOH)や、緊張型頭痛を伴う片頭痛、睡眠障害を伴う片頭痛、うつに関連する頭痛にも効果的です。
特に、ベンゾジアゼピン系薬剤を服用している頭痛患者に対しては、睡眠改善を図りつつベンゾジアゼピンの減量・中止に使用されることがあります。
閉塞隅角緑内障
心筋梗塞の回復初期
尿閉(前立腺疾患など)
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を投与中の患者
妊婦への投与は、有益性がリスクを上回る場合に限ります。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
片頭痛は女性に多く、月〜年に数回不定期に起こる頭痛です。片頭痛の人口は10人に1人と言われています。
最も頻度の高い30歳女性では約20%に達すると言われており、決して特別な病気ではありません。
月に2回以上の頭痛発作がある片頭痛患者には、予防薬が推奨されています。
今回は予防薬のひとつであるCa拮抗薬について詳しく見ていきましょう。
カルシウム拮抗薬(塩酸ロメリジン:商品名ミグシス)
ミグシスは、日本で開発されたカルシウム拮抗薬の一種です。
この薬の特徴は、副作用が少なく、日常的に使用しやすいことです。
片頭痛の原因の一つとして、脳血管の収縮が挙げられます。
ミグシスは、この脳血管収縮を抑制することで、片頭痛の予防に効果を発揮します。
また、血管透過性の改善効果もみられます。
このミグシスは脳血管に選択的に作用するため、脳の血管に選択的に作用するため、血圧低下等はみられません。
ミグシスの臨床試験では、片頭痛発作の頻度、持続時間、そして片頭痛薬の使用量が有意に減少することが確認されています。
10mg/日の服用で64.4%、20mg/日の服用で66.7%の患者が効果を実感したと報告されています。
さらに、片頭痛に伴う閃輝暗点や悪心・嘔吐などの前駆症状や随伴症状にも30%程度の改善が認められています。
ミグシスの推奨用量は、成人の場合、1回5mgを1日2回、朝食後と夕食後、または就寝前に服用することが一般的です。
ただし、症状に応じて用量の調整が行われることがありますが、1日の投与量は20mgを超えないように注意が必要です。
ミグシスは、妊婦や授乳中の方には推奨されていません。
妊娠中の使用は避け、授乳中にどうしても必要な場合は、授乳を中止することが望ましいとされています。
また、臨床試験においては、有害事象の発生率がプラセボ(偽薬)と同程度であり、比較的安全性の高い薬であることが示されています。
副作用
徐脈、心不全がありますが、頻度は低いです。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
片頭痛は女性に多く、月〜年に数回不定期に起こる頭痛です。片頭痛の人口は10人に1人と言われています。
最も頻度の高い30歳女性では約20%に達すると言われており、決して特別な病気ではありません。
月に2回以上の頭痛発作がある片頭痛患者には、予防薬が推奨されています。
今回は予防薬のひとつである抗てんかん薬について詳しく見ていきましょう。
抗てんかん薬(バルプロ酸、トピラマート)
バルプロ酸
てんかんを予防するための抗てんかん薬ですが、片頭痛の予防薬として効果があります。
・バルプロ酸は片頭痛の予防に有効か?
月に 2回以上の頭痛発作がある片頭痛患者にバルプロ酸1000mgを経口投与すると,8週後には片頭痛発作を平均4.4回/月から平均3.2回/月に減少させます。
日本においては片頭痛予防にはバルプロ酸 500mg〜600mg/日の内服が勧められます。
片頭痛の疼痛は三叉神経血管系の神経原性炎症が中心的な病態ですが、バルプロ酸は実験的に神経原性炎症を抑制し、侵害受容性疼痛の伝達を抑制することが示されています。
・副作用
一番は眠気があります。
飲み始めが特に眠気を感じやすいですが、継続していくと薬に体が慣れてきます。
その他には浮動性めまい、高アンモニア血症、肝機能障害、クレアチンホスホキナーゼ増加、貧血があります。
※妊娠中および妊娠中の可能性のある女性には催奇形性があるため、原則禁忌とします。
トピラマート
GABAの増強や神経細胞膜を安定させます。
片頭痛の予防には海外では非常に有効なのですが、日本では保険適用外です。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
眠気を感じないのにあくびが出ることはないですか?
それは生あくびと言い、身体の健康に関する警告かもしれません。
あくびについて詳しく説明していきます。
生あくびと普通のあくびの違いは?
一般的に”あくび”は、眠い時や退屈な時に出る生理現象のひとつです。
あくびは副交感神経が優位な時に出やすいとされています。
疲れている時や退屈を感じている時や眠い時は副交感神経優位なため、あくびが出るのです。
逆に何かに集中していたり、活動的な時には交感神経優位になっているため、あくびは出にくくなります。
しかし、副交感神経優位な時に出やすいあくびに対して、交感神経優位な時に出やすいあくびがあります。これが生あくびです。
緊張やストレスが多い時などの防御反応として出ることもありますが、脳梗塞や貧血など治療が必要な病気が潜んでいる時にも出るため、注意が必要です。
生あくびの原因
最も多いあくびの原因は睡眠不足ですが、まれに病気や体の異常によって生あくびが症状として出ることがあります。
生あくびだけが起こることはあまりありませんが、生あくびが発生する原因に関しては3つの説が提唱されています。
1つ目は、何らかの原因で脳内が酸素不足に陥った場合に、その酸素不足を改善させる目的であくびが出てくるという説です。
これはあくびをすることで一度に大量の空気を吸い込み、血中の二酸化炭素の濃度を下げて、酸素濃度を高める作用があると考えられています。
脳内の酸素不足が長期に継続すると、心臓や脳といった重要な臓器に十分な酸素が供給されず、酸素欠乏症を起こすことがあります。
酸素欠乏症になると、脈拍数増加や呼吸数増加、集中力低下、筋力低下、頭痛、耳鳴り、悪心、吐き気など、さまざまな症状が現れます。
2つ目は、脳が高温になりすぎると機能障害が起こることがあり、外気を取り込んで脳の温度を下げて、脳を保護しているという説です。
3つ目は、あくびをすることで脳に覚醒を促しているという説です。
あくびをするときは大きく口を開けることが多いと思いますが、この動作によって頸動脈や頸静脈が圧迫されて脳がリフレッシュします。
緊張している時や退屈な時などは、あくびをすることで脳がリフレッシュを求めるのです。
生あくびと関連する疾患
生あくびが頻繁に出るようになった時に、疑われる病気には次のようなものがあります。
貧血
貧血は、鉄分不足やビタミンB12、葉酸などの不足により、血液中のヘモグロビンが少なくなった状態のことです。
脳の酸素量が減るため、あくびが出やすくなります。
そのほかにも立ちくらみやめまい、息切れ、ふらつき、頭痛、胸の痛みなどの症状が起こります。
自律神経失調症
自律神経を構成する交感神経と副交感神経の2つの神経のバランスが保たれている状態が正常です。
しかし、ストレスが心身に影響を及ぼすと、この2つの神経のバランスが崩れ、不調となります。
これが、自律神経失調症となります。
自律神経失調症の症状は、大きく分けて身体的症状と精神的症状の2つがあります。
身体的症状
自律神経失調症の主な身体的症状の一つが手足のしびれとなります。
ストレスの蓄積によって筋肉の硬直や血行不良を引き起こし、結果としてしびれ症状を出現させます。
しびれ以外にもめまい・耳鳴り、立ちくらみ、息切れ、慢性的なだるさ、便秘・下痢、手足の震え・しびれ、睡眠の質の低下、肩こり・頭痛などの症状が一時的ではなく、慢性的に発生します。
その身体的症状の一つに生あくびがみられることがあります。
精神的症状
自律神経失調症の精神症状は、パニック障害・不安障害・不安神経症などと症状が似ています。
イライラ、不安感、落ち着きがない、情緒不安定、やる気が起きない、緊張状態などの症状が出現します。
また、精神的症状が悪化すると、うつ病の併発リスクが高まります。
睡眠時無呼吸症候群
生あくびが出る原因として睡眠の質から考えられるのが睡眠時無呼吸症候群です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)とは、主に睡眠中に空気の通り道である上気道が狭くなることによって無呼吸状態(10秒以上呼吸が止まること)と大きないびきを繰り返す病気のことです。
成人男性の3〜7%、成人女性の2〜5%程度に見られる比較的頻度の高い病気となります。
無呼吸は脳の酸素不足を引き起こします。
睡眠時無呼吸症候群は寝ている間だけではなく、日中の生活においてもさまざまな症状が出現する危険性があります。
脳疾患
脳疾患として生あくびに関係するものに脳梗塞や脳腫瘍があります。
脳梗塞は、何らかの原因で脳動脈が詰まってしまい、その結果、脳細胞が壊死してしまう病気です。
脳腫瘍は、頭蓋骨の中の脳にできる腫瘍の総称で、各部位からさまざまな種類の腫瘍が発生します。
頭蓋骨の中は閉じられた空間のため、腫瘍によって脳が圧迫されて機能障害を起こします。
また脳腫瘍によって血管が詰まりやすくなり、脳梗塞を発症するリスクを上げる可能性もあります。
脳腫瘍は悪性のものだと、5年生存率が50%を切る恐ろしい病気です。
脳梗塞・脳腫瘍のいずれにおいても、体の左右どちらか一方に力が入らなくなったり、呂律が回らなかったりなどの身体障害、体の左右どちらか片側の手がしびれるなどの感覚障害、言葉がうまく出なくなったり物忘れが増えたりなどの高次脳機能障害、そしてめまいやふらつきという症状が見られます。
このように生あくびは病気を警告するひとつの目印になります。
頻繁にあくびが出るようだと、脳がSOSを発信している状態です。
いつもと様子がおかしく、あくびが頻繁に出るようであれば、激しい運動は避けてなるべく暗い部屋で頭を冷やして安静にしましょう。
脳内に酸素を十分に行き渡らせるためには、深呼吸がおすすめです。
それでも生あくびが頻繁に起こるのが改善しないようであれば一度医療機関を受診して詳しく検査をして、原因を探してみることをお勧めします。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
チョコレートって食べすぎるといけないイメージがありますよね?
鼻血が出るよって言われたことがある方もいると思います。
実際にチョコレートの食べ過ぎはダメなんでしょうか?
今回はチョコレートについて詳しく説明していきます。
チョコレートを食べると鼻血が出る?
チョコレートは血行を良くする
そもそも鼻血とはどのように出るのでしょうか?
鼻血の原因の多くは、鼻の穴の入り口から1cmほど入ったところのキーゼルバッハ部位と呼ばれる毛細血管が多く集まった場所が原因となります。
ここは粘膜も薄く、小さな刺激でも血管が切れやすい部位となっています。
チョコレートには、テオブロミンやポリフェノールなど血行をよくする物質が含まれています。
この血行が良くなることで、一時的に毛細血管が刺激されて出血すると言われていますが、医学的な根拠はありません。
鼻血との関連を示す根拠は弱い
チョコレートを食べ過ぎることで鼻血がでると言われるようになった説としてはいくつかあります。
ひとつは、チョコレートのように糖分や脂質が多いものを食べすぎると、体の中に溜まったエネルギーが行き場を失い、鼻血として出るのではないかという説です。
昔はチョコレートが高価な食べ物であったため、子どもたちが食べすぎてしまわないように、たくさん食べると鼻血が出ると母親が注意したという説もあります。
チョコレートを食べ過ぎることのデメリット
脂質や糖質の過剰摂取
チョコレートの食べ過ぎで起こるデメリットの最も多いものとしては、脂質や糖質の過剰摂取による体重増加や、動脈硬化、そして糖尿病のリスクです。
カカオには脂肪分が含まれている他、カカオの苦味を抑える成分として使用されているミルクや砂糖には、脂肪分と糖分が含まれています。
そのため、チョコレートを食べすぎれば、脂質や糖質も多量に摂取してしまうことになります。
脂質は、体を動かすために必要なエネルギーを生み出す役目を持っています。
しかし、過剰に摂取してしまうと、体内に脂肪として蓄えられてしまいます。
結果として、体重の増加の他にも、血液中の中性脂肪及びコレステロールを増加させてしまい、その影響で血管にコレステロールが溜まりやすくなり、動脈硬化につながります。
また、糖分の過剰摂取は、エネルギーを中性脂肪に変えるインスリンの過剰分泌を引き起こし、太りやすくなってしまいます。
さらに糖分の過剰摂取によって糖尿病を発症してしまうと、動脈硬化以外にもさまざまな合併症を招く恐れがあります。
片頭痛との関連
チョコレートのカカオの中にはチラミンという成分が含まれています。
このチラミンは、血管を収縮させた後に拡張させる作用があります。
この時に急激に血流が増えることで、片頭痛と関連して、悪化させる可能性が言われています。
チョコレートのメリット
チョコレートを食べることはデメリットばかりではありません。
リラックス効果
チョコレートのカカオには、交感神経と副交感神経のバランスを調整するセロトニンを増加させるテオブロミンという成分が含まれています。
また、ポリフェノールには、ストレスの軽減に役立つとされており、ストレス増加で分泌されるホルモンの排泄量を抑えます。特にGABA入りチョコレートを摂取することで、忙しくイライラしている時でもリラックス効果や疲労回復といった効果を得ることが期待されます。
女性の脳卒中リスクの低下
チョコレートに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、コレステロール値の改善、血圧低下などの研究が数多く報告されています。
日本でも研究がなされており、女性ではチョコレートの摂取量が最も多いグループで、最も少ないグループに比べて、脳卒中の発症リスクが16%低く、チョコレートの消費量が週50g増えるごとに、脳卒中のリスクが約14%減少するという報告があります。
生活習慣病に関係する血圧やコレステロールの値が改善するという報告もあり、食べ過ぎずに適量であれば、メリットも多いということがわかります。
間食から摂取するカロリーの目安は1日に200kcalとされています。
ミルクチョコレートであれば、一日に一口サイズで7枚(35g)程度が目安となります。
チョコレートは食べ過ぎると脂質や糖質を過剰に摂取してしまうのでデメリットが大きいですが、毎日少量ずつ摂取することでメリットも多いことがわかります。
適量のチョコレートであれば、身体面でも精神面でもメリットが上回っていきます。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
片頭痛が起きているとき、鎮痛薬を内服して痛みを抑えていきます。
しかし、片頭痛が頻回に起きることで生活上の支障をきたすことがあります。
そのような場合には片頭痛を起こさないようにするための予防の治療が必要となります。
片頭痛の予防薬は必要?
片頭痛の発作が月に2回以上、あるいは生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある場合は、予防治療を検討します。
副作用が少ない低用量から開始し、2~3カ月程度の時間をかけて効果を判定します。
・抗てんかん薬(バルプロ酸、トピラマート)
バルプロ酸:
抗てんかん薬ですが、片頭痛の予防薬として効果があります。
副作用として眠気があります。
飲み始めが特に眠気を感じやすいですが、継続していくと薬に体が慣れてきます。
500〜600mg/日の内服が勧められます。
トピラマート:
GABAの増強や神経細胞膜を安定させます。わが国では保険適用外です。
・カルシウム拮抗薬(塩酸ロメリジン)
脳血管の収縮抑制、血管透過性の改善効果がみられます。
カルシウム拮抗薬は血圧の薬ですが、塩酸ロメリジンは脳の血管に選択的に作用するため、血圧低下等はみられません。
10mg/日の服用で64.4%、20mg/日の服用で66.7%の患者が効果を実感したと報告されています。
さらに、片頭痛に伴う閃輝暗点や悪心・嘔吐などの前駆症状や随伴症状にも30%程度の改善が認められています。
副作用として徐脈、心不全があります。
・β遮断薬(プロプラノロール)
血管を拡張させることで予防効果がみられます。
血圧や不整脈の薬として使用されており、起立性調節性障害や低血圧の方には慎重投与となります。
心不全、喘息、房室ブロックには禁忌です。
片頭痛の薬であるリザトリプタンとは併用禁忌となっています。
妊娠中の片頭痛予防にも使えます。
30mg/日から開始として30〜60mg/日で調整します。
・抗うつ薬(アミトリプチン)
神経終末におけるノルアドレナリン、セロトニン再取り込みを阻害し、脳内のセロトニン濃度を上昇することで予防します。
副作用として眠気、口渇、便秘があります。
通常うつ病で使用する用量よりも低用量(10〜20mg/日、就寝前)で使用します。
・抗アレルギー薬(シプロヘプタジン)
抗アレルギー薬ではありますが、抗セロトニン作用によって、脳血管の収縮を抑え、頭痛発作の頻度を減少させます。
特に年少者の片頭痛の発作予防に用いられることが多いです。
発作予防の効果が現れるまでに少なくとも1〜2ヶ月はかかります。
・漢方薬
予防薬を飲むことに抵抗がある方は、漢方薬を内服することで片頭痛の予防を行うこともあります。
呉茱萸湯、桂枝人参湯、釣藤散、葛根湯、五苓散などが慢性頭痛に効果があると言われています。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
皆さんは群発頭痛という言葉を知っていますか?
数ヶ月から数年に1度、1-2ヶ月間ほど毎日のように片方の眼がえぐられるほどの激しい頭痛が起こる方は群発頭痛かもしれません。
群発頭痛とは
群発頭痛は慢性頭痛のうちのひとつです。
慢性頭痛としては主に片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛に分かれます。
群発頭痛はこの3つの中でも発症率が特に低い頭痛で、有病率は0.056%から0.4%程度(1000人に1人程度)と報告されています。
特に20-40代の男性で多く見られます。
群発頭痛の症状は、片方の眼の奥がえぐられるような激痛が起こります。
眼の充血、涙や鼻水が止まらないほどの症状を伴うこともあります。
自殺頭痛という別名もあるほどの頭痛で激痛です。
症状は1-2ヶ月間ほど毎日のように起こり、この期間を群発期と呼びます。
群発期が終わると数ヶ月から数年にわたって痛みがない時期が続きます。
群発頭痛はなぜ起きる?
群発頭痛が起こる原因について、はっきりとした理由がまだわかっていません。
いくつかの説が報告されています。
・視床下部説
群発頭痛は夜間に頭痛が起こることから概日リズムの障害が関連していると考えられています。
メラトニンなどの概日リズムを調整するホルモンに異常が生じたり、視床下部という概日リズムを調整する部位の血流が異常亢進することで群発頭痛が起きるとされています。
しかし、実際の頭痛発症時のMRI画像で視床下部の血流が亢進した状態で頭痛が軽快傾向に向かうなどの矛盾点があったり、視床下部を電気刺激して血流を増やすような状態にしたところ頭痛が緩和されるという報告もあることから視床下部を原因とする説の立証は十分ではありません。
・三叉神経と血管との関係説
三叉神経が刺激され血管拡張が起こることが頭痛の原因とする説です。
しかし、これも三叉神経を切除したような状態でも頭痛が生じることや頭痛時の血管拡張が観察できないことから立証は十分ではありません。
・内頸動脈説
内頸動脈やそれが取り囲む海綿静脈洞に炎症が生じるという説です。
しかし、実際に頭痛時にその炎症を証明することが困難であり、立証は不十分です。
・ニューロンネットワークの失調
三叉神経と視床下部までに至る経路の神経伝達物質の流れのネットワークに失調がおこるという説です。
しかし、これもはっきりとした立証はできていません。
いくつか説をあげましたが、どれも立証はできていないため、原因が明らかになっていないのが現状です。
市販薬は効きにくい?
市販薬は基本的に効きません。
多少の痛みは和らぐかもしれませんが、診断がついているのであれば迷わず病院を受診して薬を処方してもらうのが良いでしょう。
群発頭痛の診断と治療
治療は主に2種類あり、群発期の治療と群発頭痛の予防に分かれます。
・群発期
高濃度の酸素吸入が昔から有効とされています。
酸素を吸入することで80%の方で改善が見られたという報告があります。
一番手軽な治療法としてはリドカインという表面麻酔薬をスプレーで鼻粘膜に散布する方法です。
これは30%くらいの方で改善がみられます。
同様の方法として片頭痛で保険適応になっているスマトリプタンの点鼻を発作時に痛い方と反対側の鼻孔にスプレーする方法があります。
また、頭痛発作が激烈な初期の2週間くらいに限り、神経や脳血管の腫れをとる作用を持つ副腎皮質ホルモンを併用することもあります。
・群発頭痛の予防
神経細胞膜の安定化作用のあるベラパミル塩酸塩(ワソラン錠)や、大脳皮質の過敏性を抑える効果のあるバルプロ酸ナトリウム(デパケン錠、セレニカ錠)などを患者さんの症状に合わせて適宜処方します。
できる限り群発頭痛のリスクを下げるためには、アルコールの摂取を控えることが有効です。
また、熱いお風呂やサウナ、辛い食事、激しい運動なども控えましょう。
また、自律神経のバランスを崩さないように毎日できるだけ決まった時間に起床、就寝するなど、規則正しい生活を心がけることが基本となります。
発作が起こりそうになったら、窓を開けて深呼吸を繰り返しましょう。
また、痛むところを冷やすことで多少痛みが和らぎます。
それでも我慢できない場合は、病院を受診しましょう。
群発頭痛は毎日激しい頭痛が来てつらいものです。
くも膜下出血や脳出血なども同様に我慢できないほどの痛みが生じます。
そうした鑑別のためにも、我慢できないような痛みが生じた場合は、一度当院へご相談ください。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
2月22日は頭痛の日でした。
夜は頭痛診療のテーマカラーである緑でライトアップされていました。
非常に有意義な講演を聴くことができ、
これからも頭痛診療にしっかりと取り組んでいきたいと思います。