「勉強すると脳のシワが増える」は本当?賢さと脳のシワの真実

こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡市東区、糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。

 

「勉強すると脳のシワが増える?」という説は本当か、脳神経外科の専門医が医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。

脳のシワ(脳回・脳溝)ができる理由や、大人になってからの「脳の鍛え方(神経可塑性)」、頭痛やめまいなど脳のSOSサインについてもご紹介。

 

「賢くなると脳のシワが増える」は本当?

「一生懸命勉強したり頭を使ったりすると、脳のシワが増えて賢くなる」

昔からよく耳にするこの説ですが、脳神経外科医として臨床に携わる立場から結論をお伝えすると、「後天的に勉強や経験によって脳のシワ(溝)が増えることはない」というのが医学的な事実です。

では、なぜ「脳のシワが多い=頭が良い」という噂が広がったのでしょうか? また、脳のシワが増えないのであれば、大人になってから脳を鍛える(=賢くなる)ことはできないのでしょうか?

今回は、脳の構造やメカニズムを紐解きながら、脳のシワの真実と、大人になってから脳の機能を向上させる方法についてわかりやすく解説します。

 

なぜ脳には「シワ」があるのか?

脳の表面を覆っている折りたたみ状のヒダ(凹凸)を、医学用語で「脳回(のうかい)」や「脳溝(のうこう)」と呼びます。

限られた頭蓋骨の中で表面積を広げるための仕組み

ヒトの脳の表面にある「大脳皮質」には、思考・言語・記憶・運動などを司る重要な神経細胞(ニューロン)が集中しています。

もし脳のシワをすべて伸ばして広げたとすると、その表面積は新聞紙1枚分(約2,200平方センチメートル)ほどにもなります。

この広大な面積を持つ大脳皮質を、小さな頭蓋骨の中にコンパクトに収めるために、折りたたまれて「シワ」が形成されているのです。

脳のシワはいつ作られる?

脳のシワは、胎児の時期(お腹の中にいる間)から生後数年にかけて急速に形成されます。

成長とともに脳の体積が大きくなるプロセスで自然と作られるものであり、大人になってから勉強や運動をしたからといって、新たなシワが増えたり深く刻まれたりすることはありません。

 

「脳のシワが多い=頭が良い」と言われる理由

大人になってからシワが増えることはありませんが、種族間の比較発生学的な観点から見ると、「シワの多さ」と「知的機能」には深い関係があります。

  • 動物によるシワの違い: マウスやラットなどの小動物の脳にはシワがほとんどなく滑らかです。一方、ヒトやイルカ、チンパンジーなど、高度な感情や思考力を持つ哺乳類の脳には複雑なシワが存在します。

  • 知能の発達と脳の進化: 進化の過程で大脳皮質が発達し、神経細胞が増加したことで、限られた頭蓋骨内に収めるためにシワがより複雑化していきました。

このように、「種として脳が高度に進化していること」と「シワの多さ」には相関関係があるため、これが転じて「個人の頭の良さもシワの多さで決まる」という俗説につながったと考えられます。

 

大人になってからも脳は変わる!「神経可塑性」の凄さ

「シワが増えないなら、大人になってから頭を良くすることはできないの?」と疑問に思うかもしれません。

脳の形(シワの数)は変わらなくても、脳の回路(ネットワーク)は大人になってからも変化・強化されます。

これを医学用語で「神経可塑性(しんけいかそせい)」と呼びます。

 

脳を鍛えるとは「神経回路のネットワークを太く・密にすること」

新しい知識を学んだり、手先を使ったり、新しい習慣を身につけたりすると、脳内の神経細胞同士をつなぐ「シナプス」と呼ばれる結合部位が新しく作られ、情報の伝達スピードが向上します。

つまり、大人になってからの「賢さ」や「頭の回転の速さ」は、シワの数ではなく、神経ネットワークの密度と効率性によって決まるのです。

 

脳神経外科医がおすすめする「脳を活性化させる習慣」

脳の神経ネットワークを刺激し、いつまでも若々しく健康な脳を保つための具体的なアプローチをご紹介します。

  1. 〇適度な有酸素運動(ウォーキングやスイミングなど)

    • 運動によって脳の血流が増加し、記憶を司る「海馬」の働きを活性化させます。

  2. 〇質の良い睡眠

    • 睡眠中、脳は昼間に得た情報を整理・定着させると同時に、脳内の老廃物を洗い流すメンテナンスを行っています。

  3. 〇新しい体験や学び

    • 普段と違う道を歩く、新しい趣味を始める、指先を細かく使う作業をするなど、「適度な刺激」が神経回路を新たに構築します。

  4. 〇生活習慣病の予防

    • 高血圧や糖尿病、脂質異常症などは、脳の微小な血管にダメージを与え、脳梗塞や認知機能低下のリスクを高めます。

気になる頭痛や「いつもと違う違和感」は脳のSOSかも?

脳のパフォーマンスを高く保つためには、脳全体の健康状態を整えることが不可欠です。

  • 「最近、物忘れが増えた気がする」

  • 「いつもと違う頭痛が続いている」

  • 「一瞬だけフワフワするようなめまいが起こる」

このような症状は、単なる疲れだけでなく、脳の血流低下や隠れた脳疾患のサインである可能性もあります。

当院(しろうず脳神経外科)では、MRIなどの精密検査を用いて、脳の血管状態や組織の変化を詳しく診療しております。少しでも気になる違和感がありましたら、我慢せずにご相談ください。

 

まとめ

  • 「勉強して賢くなると脳のシワが増える」は医学的には誤り(シワは胎児期〜乳幼児期に形成されます)。

  • ・シワの役割は、新聞紙1枚分の大脳皮質を小さな頭蓋骨内に収めること

  • ・大人の脳の成長は、シワの数ではなく「神経ネットワークの強化(神経可塑性)」によって起こる。

  • ・脳の健康を保つには、運動・睡眠・生活習慣病管理・早期診療が大切。

脳に関して気になることや、頭痛・めまい・物忘れなどのご不安がございましたら、福岡県糟屋郡新宮町、新宮中央駅前近くのしろうず脳神経外科までお気軽にご受診・ご相談ください。

 

  • この記事を書いた先生のプロフィール

    しろうず脳神経外科 院長 白水 寛理

    医師・医学博士/脳神経外科専門医
    (日本脳神経外科学会・日本頭痛学会・日本脳卒中学会・日本脳神経外科コングレス 所属)

    これまでは九州大学脳神経外科を中心に脳卒中、脳腫瘍、頭部外傷など急性期医療に携わり、大学では脳卒中や脳腫瘍、もやもや病などの手術や研究を精力的に行ってきました。くも膜下出血や脳動脈解離など「危険な頭痛」の鑑別・初期対応にも力を入れています。

    即日MRI診断をすることで手遅れになる前にスムーズな病診連携を行っています。MRIで異常がない頭痛であっても、脳の病気であり治療が必要です。当院では頭痛外来を行っており、本人に適した丁寧な治療を心がけています。

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2026年09月10日