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国内初の経口CGRP受容体拮抗薬「ナルティーク」について

こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。

 

片頭痛は女性に多く、月〜年に数回不定期に起こる頭痛です。片頭痛の人口は10人に1人と言われています。

最も頻度の高い30歳女性では約20%に達すると言われており、決して特別な病気ではありません。

月に2回以上の頭痛発作がある片頭痛患者には、予防が推奨されています。

その予防として初めて承認された経口タイプのCGRP受容体拮抗薬が2025年9月に承認され、12月16日より発売になります。今回このCGRP受容体拮抗薬について詳しく解説していきます。

CGRP製剤とは

 

片頭痛は、脳内にCGRPをいう物質が増え、脳の血管に作用して起こるといわれています。

今まで日本で承認されていた治療薬3剤(「エムガルティ®︎」「アジョビ®︎」「アイモビーク®︎」)は、いずれも注射薬でした。

この注射薬の働きをする経口薬として、2025年9月「ナルティークOD錠(一般名:リメゲパント)」が承認されました。
ナルティークは発作時の治療発作予防の両方に使える点が大きな特徴です。

 

 

ナルティークの用法・用量

 

  • 発作時の治療:片頭痛が起きたときに1回1錠服用します。

  • 発作の予防:片頭痛を繰り返す方では、1日おきの服用で発作を起こりにくくします。

1日あたり75mgを超えて服用しないことが原則です。

 

 

 

トリプタン系薬剤との違い

従来の急性期治療薬であるトリプタン製剤は、血管収縮作用を持つため、下記のような疾患を持つ方には使用できません。

  • ・心筋梗塞や虚血性心疾患の既往
  • ・脳血管障害や一過性脳虚血性発作
  • ・末梢血管障害
  • ・コントロールされていない高血圧症

一方、ナルティークは血管収縮作用を持たず、心血管系への影響がほとんどないため、血管系の禁忌がなく、より広い方に使用できる可能性があります。

 

どんな方に向いているの?

 

  • ・トリプタン系薬剤で効果が不十分、または副作用が強く使用できない方

  • ・発作が頻繁で、日常生活に支障を感じている方

  • ・注射による予防治療に抵抗がある方

上記のような方にとって、飲み薬で治療予防を両立できるのは大きなメリットです。

 

 

ナルティークの薬価と費用

 

【薬価】 1錠(75mg):2,923.20円 (※2025年11月時点)

【患者さんの窓口負担(3割負担)の目安】

使用目的 服用頻度 費用目安(薬剤費のみ)
 発作時(頓服)  発作時に1錠  1錠あたり 約 880円
 予防で使用  隔日投与(月15錠程度)  1ヶ月あたり 約 13,150円

※上記は薬剤費のみです。別途、診察料・処方箋料・調剤料などがかかります。
※予防使用の月額は、抗CGRP抗体注射薬の費用(3割負担で約13,000円)と比較的近い価格となっています。

 

 

ナルティークは12月16日より発売となります。

当院では毎日頭痛外来を行っており、そのような片頭痛に対しての治療を積極的に行っております。

CGRP製剤による注射治療も多数行っており、頭痛の悩みから解放されたという喜びの声を多数いただいており、その声を聞けることが何よりの喜びと感じています。
頭痛でお困りの方は是非一度お気軽に当院へご相談ください。

 

 

 

2025年12月02日
アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」「ドナネマブ」とは?

こんにちは、毎日もの忘れ外来をしている福岡糟屋郡新宮町「しろうず脳神経外科」です。

 

近年、アルツハイマー病の治療に画期的な進展がありました。

「レカネマブ(商品名:レケンビ)」「ドナネマブ(商品名:ケサンラ)」という新しい薬が、日本でも使用できるようになったのです。

これらの薬は、従来の認知症治療薬と違い、病気の原因に直接作用する“抗体薬”であり、アルツハイマー病の進行を遅らせる効果が期待されています。

当院は、これらの薬を使用した治療のフォローアップ施設として認定されており、地域で安心して継続治療を受けられる体制を整えています。

 

認知症の原因となる病気とアルツハイマー病

 

認知症は、加齢によって自然に起きるものではなく、原因となる病気があって起こる症状の総称です。

その中で最も多い原因がアルツハイマー病です。

アルツハイマー病の初期には次のような症状が見られます。

・少し前の出来事を思い出せない

・カレンダーを見ても日付がわからない

・同じ質問を繰り返す

 

軽度認知障害(MCI)とは?

 

認知機能に低下はあるものの、日常生活に大きな支障は出ていない状態を軽度認知障害(MCI)といいます。

MCIの段階で治療に取り組むことが、進行を抑える上で非常に重要です。

 

 

アルツハイマー病の脳で起きていること

 

アルツハイマー病の脳では、海馬(記憶を司る部位)から萎縮が始まるアミロイドβ(ベータ)というたんぱく質が固まり、老人斑ができるといった変化が起こります。

アミロイドβは、症状が出る15~20年前から少しずつ脳に蓄積していき、神経細胞を傷つけ、結果として認知機能が低下していきます。

 

 

抗アミロイドβ抗体薬(レカネマブ・ドナネマブ)とは?

 

従来の治療薬は症状を緩和させる薬であり、進行を止める効果はありませんでした。

抗アミロイドβ抗体薬(レカネマブ・ドナネマブ)は、原因物質であるアミロイドβに結合し、体から除去する働きがあります。

その結果、病気の進行を遅らせる効果が期待されています。

 

ケサンラは脳にたまったアミロイドβプラークを取り除くお薬です。

 

治療の流れと通院頻度

レカネマブ

・点滴に約60分

・2週間に1回の通院を18カ月継続

 

ドナネマブ

・点滴に約30分

・4週間に1回の通院

12カ月目の検査で除去確認→完了、除去不十分なら最長18カ月

ケサンラは、4週に1回少なくとも30分かけて点滴するお薬です。アミロイドPET検査により、アミロイドβプラークの除去が確認されたら投与完了となります。除去が確認されない場合は、原則最長1年半(18ヵ月)で 完了します。

 

副作用について

最も注意すべき副作用

・脳の微小出血(ARIA-H)

・脳のむくみ(ARIA-E)

その他副作用

・注入に伴う反応

・頭痛

 

お薬の費用について

投与1回分のお薬の費用(ケサンラの場合)(目安)

高額医療制度※を利用することで自己負担額の軽減ができます。

 

高額療養費制度は年齢や年収に応じた限度額を超えた場合に超過分の払い戻しを受けることができる制度です。

一時的な支払いとはいえ、治療金額は大きな負担になると思いますので、事前に限度額適用認定証を取得しておくと、窓口での支払いは自己負担額までの支払いで済みます。

さらに、マイナンバーを健康保険証として利用することで、限度額適用認定証の申請手続きや提示が不要となります。

 

誰にでも効果があるわけではありませんが、早期の適切なタイミングで使うことで、生活の質を保ちやすくなる可能性があります。もの忘れが気になる方、家族の症状が心配な方は、当院までお気軽にご相談ください。

 

2025年12月02日