こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
頭痛外来をしていると、「頭痛って冷やした方がいいんですか?温めた方がいいんですか?」とよく聞かれます。
頭痛が出た時に痛み止めを飲む以外になにかできないかと考えますよね。
その時に冷やすのか温めるのか、どこを冷やしたり温めたりするべきなのか迷いますよね。
今回は頭痛の時の対応について詳しく見ていきましょう。
冷やすべき?温めるべき?
実は、頭痛の種類によって冷やすべき時と、温めるべき時に分かれます。
そのため、どちらもお勧めの方法としてインターネットなどで紹介されているため、悩んでしまうのです。
片頭痛の場合
頭の片側、眼の奥、後頭部にズキンズキンと脈打つような痛みの場合、片頭痛の可能性が考えられます。
片頭痛は動くと痛みが悪化するので、静かな部屋でじっとしていたくなります。
氷のうや濡れタオルで冷やす
こめかみの血管がズキンズキンと脈打っているときは、その部分の血管が拡張している状態です。
その脈打っている部分に氷枕や氷のう、熱吸収シート、濡れタオルなどを当てて、冷やすことで楽になることがあります。
緊張型頭痛の場合
首や肩の筋肉のこりがみられており、後頭部がじんわりとした疼痛や頭をベルトで締め付けられるような痛みがみられる場合、緊張型頭痛の可能性が考えられます。
緊張型頭痛は体を動かすと少し楽になり、何か作業をしている間は痛みを忘れていることもあります。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
お薬をもらうと必ず服用方法が書いてあります。
「朝食後」と書いてある場合もありますし、「夕食前」と書いてある場合もあります。
では朝食を食べない方や、体調悪くて食べられない方は薬はどうしたらよいのでしょうか?
食後に飲む理由
ほとんどの薬が食後に飲むことになっています。
よく「食事をしていないから薬が飲めませんでした」と外来で聞きます。
食後以外の時間帯にのむと何か悪いことがおこるんでしょうか?
実は、ほとんどの薬は、食事と関係なく内服してもほとんど問題ありません。
薬の効果にはあまり影響を及ぼさないのです。
ではなぜ食後がいいのでしょうか?
薬の添付文書をみると、副作用として胃腸障害が多く挙げられています。
胃の中に食物が残っている場合は、ゆっくりと吸収されていきます。
そのため、食後にのむことで胃腸障害を軽減できるのです。
薬は1日に必要な量を処方しています。
朝食を食べていなくても、朝きちんと薬を飲むことをお勧めします。
胃腸障害が心配な方は、少しでも何か食べて薬を飲みましょう。
では、すべての薬が時間を守る必要がないのでしょうか?
数は多くないのですが絶対に指定を守らなければならない薬もあります。
・血糖降下薬
食事をしないで血糖を下げる薬をのめば、低血糖になってしまいます。
そのため、血糖に関連する薬は主治医にきちんと飲み方を聞きましょう。
・ホルモン剤
ホルモン量には日内変動というものがあります。
そのため、ホルモン剤などは、のむ時間帯を守ったほうがいいです。
副腎皮質ホルモン(ステロイド)などが対象となってきます。
漢方はなぜ食前?
漢方薬は食前や食間が多いです。
食前とは、食事の20〜30分前のことです。
食間とは、食事の最中だと思われている方も多いようですが、食事と食事の間という意味で、食事を終えてから約2時間後が目安です。
空腹時に漢方薬を飲むと、食物の影響を受けないで小腸まで届き、腸内細菌によって吸収されやすい状態に変えられます。そのため効果的に薬の効果を発揮することができるのです。
いかがでしたでしょうか?
食事ができていないと薬を飲んでいいか悩むと思います。
悩む場合は一度主治医に相談してみましょう。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
今週は大寒波がやってきて、雪が降る可能性が高くなっています。
「雨が降る前に頭痛が来ます」「気圧が低くなっているのが頭痛でわかります」
当院の頭痛外来には上記のような相談で来られる方が多いです。
頭痛は天気と密接に関係しており、一般的に「天気痛(気象痛)」と呼ばれます。
今回は低気圧に伴う頭痛についてどのように対策していくか紹介していきます。
気象痛とは、天候や気圧の変化に伴って頭痛を引き起こす症状のことです。
実はそのメカニズムは、いまだにはっきりとはわかっていません。
気圧の低下や湿度の変化が関与しており、頭痛やめまい、体のだるさ、関節痛、耳鳴りなどの症状が現れます。
気圧の変化が耳の内耳を刺激し、交感神経系が興奮し、頭痛が引き起こされるという仕組みです。自律神経のバランスを乱すことで発生します。これによって、頭痛やその他の不調が引き起こされます。
頭痛には片頭痛(偏頭痛)、緊張型頭痛、群発頭痛など多くの種類がありますが、
低気圧が頭痛に与える影響は、とくに片頭痛が多いです。
低気圧が近づくと大気の圧力が下がり、血管が拡張しやすくなります。
この血管の拡張が神経を圧迫して、片頭痛を引き起こします。
また、低気圧は自律神経のバランスを乱すことで、片頭痛の発生を促進します。
さらに、セロトニンにも影響を与え、血管の急激な収縮や拡張を引き起こすことで片頭痛を悪化させることがあります。
睡眠・覚醒のメリハリをつけるためには、朝起きたら朝日を浴びて朝食をしっかりととりましょう。
太陽の光を浴びることで、身体が目覚めて日中活発に過ごせます。
朝すっきりと目覚めるためには質の良い睡眠をとることも大切です。
夜寝れないからとスマートフォンやパソコンなどのブルーライトを発する機器の使用するのではなく、ヨガやアロマ、穏やかな音楽を聴く、半身浴などの自分なりのリラックス方法でスムーズな入眠につなげましょう。
質の良い睡眠をとるためにも、日中は活動的に過ごしましょう。
筋肉を動かす際のエネルギーとして酸素を利用する有酸素運動は、特に心身をリラックスさせてくれます。
少し汗ばむ程度のウォーキングや軽いランニング、サイクリング、ダンスなどの軽く息が弾む程度の運動を行いましょう。
疲れすぎない程度の運動を継続して行うことが大切です。
自分の頭痛が起こりやすいタイミングを把握するために、気圧予報や天気痛予報を活用するのも有効です。
当院では片頭痛の方には「頭痛ダイアリー」を渡しています。
頭痛が起こるときの気圧や天候を記録することで、どのような天候の変化で頭痛が出やすいのかを把握しやすくなります。
頭痛が出やすいパターンがわかると「処方されている薬を前もって飲む」「予定を調整する」などの予防対策が取りやすくなります。
「明日は頭痛が来るかも」という心構えができるだけでも、精神的な余裕を持って頭痛に対処しやすくなります。
天気が悪いと起こる頭痛は背景に片頭痛があることが多いです。
頭痛によって仕事や学校を休まなければならない場合もあり、片頭痛や天気痛は生活の質を大きく低下させる要因となります。
片頭痛の症状を和らげ、生活の質の向上をめざせる治療法として「ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤(「CGRP」頭痛薬剤)」を使った治療があります。
日々の頭痛に悩む方、天気痛が辛い方、頭痛に悩まされない快適な日常を送りたいという方は、頭痛外来のある「しろうず脳神経外科」にお気軽にご相談ください。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
生理周期に伴って頭痛がみられませんか?「生理だからしょうがない・・・」こんな風に諦めてはいないでしょうか。
生理中に発生する頭痛の中でも「月経片頭痛(げっけいへんずつう)」は、多くの女性が抱える特有の問題です。
この頭痛は、通常の片頭痛と似ていますが、原因や治療方法に特徴があります。
今回は月経に伴う片頭痛について詳しく解説します。
月経片頭痛とは、生理周期と関係して起こる片頭痛のことです。
特に、月経が始まる2日前から3日目までの間に発生する片頭痛のことを言います。
女性の片頭痛患者の約60%がこのタイプの頭痛を経験しています。
通常の片頭痛と月経片頭痛は発生タイミングや症状の強さ・持続時間、誘発因子が異なってきます。
セロトニンは、脳内で血管収縮を調整する重要な神経伝達物質であり、頭痛と密接に関連します。
生理中はセロトニンのバランスが乱れやすく、血管が過剰に拡張し、こめかみのズキズキ感を引き起こします。
セロトニンの適切な調整が頭痛緩和の鍵となります。
片頭痛の引き金となるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、血管拡張を促し、神経を敏感にします。
生理中の頭痛では、セロトニンとCGRPの相互作用が重要な要因となります。
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、片頭痛発症に深く関与するタンパク質です。
2021年よりCGRP製剤が日本で承認されました。
CGRP製剤は、この物質の活動を阻害し、片頭痛の発症を抑える新しい治療薬です。
予防薬として使用されることが多く、月経片頭痛にも有効性が確認されています。
「アマージ」(ナラトリプタン)は、月経片頭痛の短期予防に効果的です。
生理が始まる1~2日前から服用することで、発作の予防が可能です。
低用量経口避妊薬は、避妊のためにエストロゲンとプロゲスチン(黄体ホルモン)を含むホルモン剤が配合されています。
この薬の副作用として、頭痛が挙げられることがあります。
前兆のある片頭痛をお持ちの方の場合、エストロゲンを含む避妊薬を使用すると血栓症のリスクが高まるため、基本的には使用が避けられます。
一方、前兆のない片頭痛の方については、年齢や喫煙などの血栓症リスクを慎重に評価した上で服用が可能です。
婦人科を受診する際には、片頭痛の有無を医師に伝えることで、より安心して適切な避妊薬を選ぶことができます。
月経片頭痛は、ホルモン変化やCGRPの活動が原因となる、女性特有の片頭痛です。
通常の片頭痛とは異なる特徴を持つため、適切な予防と治療が必要です。
アマージやCGRP製剤といった医薬品の活用、頭痛ダイアリーによる管理を組み合わせることで、症状の軽減や生活の質の向上が期待できます。
つらい頭痛にお悩みの方は、一度、「頭痛専門外来」の頭痛専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけてみてください。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
片頭痛は元々女性に多く、エストロゲン(卵胞ホルモン)の変化にって、脳内のセロトニンやカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)という神経伝達物質のバランスが影響を受けます。
その結果、脳の血管が拡張したり、神経に炎症が起こることで片頭痛としてみられます。
片頭痛は30〜39歳で最も多く、妊娠や出産の時期と重なってきます。妊娠がわかった時、片頭痛の治療や飲んでもいい薬はあるのでしょうか。今回は妊娠の際の頭痛について見ていきたいと思います。
妊娠で片頭痛は起こる?
片頭痛は妊娠初期に多いとされています。
これは、もとから片頭痛を持っている方が、妊娠によって女性ホルモンの分泌量が増えることで自律神経が乱れ、頭痛が起こるためです。
ただ妊娠した片頭痛患者の80%以上で片頭痛発作が軽減あるいは消失します。
そのため、妊娠中に片頭痛が問題になることはあまり多くありません。
最も問題になるのは、妊娠判明までに、知らずに服用してしまった片頭痛治療薬が、胎児に及ぼす影響(催奇形性)です。
一般的に薬とは関係なく新生児の3~5%に小奇形を含めた奇形の自然発生が認められています。
予防薬を除けば、片頭痛治療薬で胎児に奇形を起こすことが報告されている薬はないため、予防治療中でなければ過剰な心配をする必要はありません。
どの時期に内服した薬が胎児に影響を与えるのでしょう?
・妊娠中の薬物服用と催奇形性に関しては、まず最終月経開始日を1日目として計算して、33日目までに服用された薬については、その種類を問わず胎児に対し影響がないと言われています。
・それ以降から妊娠7週末までは、主要器官が分化するため、催奇形因子に対し最も敏感な時期に当たります。
この時期に催奇形性のある薬を飲んだ場合が問題になります。
・妊娠8週から妊娠15週末までは、主要器官の発生は終了していますが、顔面や性器の分化が続いている時期で、薬剤の種類によっては問題となってきます。
・妊娠16週以降は器官の分化は完了しているため、催奇形性は問題になりませんが、薬による胎児機能障害(胎児毒性)が問題になります。
片頭痛治療薬(トリプタン)
片頭痛予防治療
いかがでしたでしょうか。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
みなさんは、CGRP製剤というものを知っていますか?CGRP製剤というのは2021年に片頭痛の新しい治療薬として日本で承認された注射薬です。日本で承認されてまだ長くないため、知らない方も多いかと思います。
片頭痛で悩まされている方にとっては、非常に有効な注射薬となっており、今まで頭痛が起きた時に対処するしかなかった時代から、頭痛が起きにくくする時代へと移行していきます。
今回は、CGRP製剤について詳しく解説していきます。
治療薬のはたらき
片頭痛は、脳内にCGRPをいう物質が増え、脳の血管に作用して起こるといわれています。
日本で承認された治療薬3剤(「エムガルティ®︎」「アジョビ®︎」「アイモビーク®︎」)であり、この注射薬がCGRPのはたらきをおさえ、片頭痛発作が起こるのをおさえると考えられています。
内服薬による予防の治療と何が違う?
片頭痛の予防に使用される内服薬はCa拮抗薬(血圧を低下させる薬)、抗てんかん薬(けいれんを抑える薬)、β遮断薬(不整脈を抑える薬)、抗うつ薬など片頭痛発作を抑えるために作られた薬ではありません。
しかし、片頭痛予防注射製剤「抗CGRP関連製剤」は片頭痛発作を抑えるために開発された注射であり、予防効果はより強いものとなっています。
片頭痛が来ない日が増えたら…
片頭痛によって家庭、仕事、学校や職場で支障を感じている患者さんは多くいらっしゃいます。
当院にも頭痛が起こることで仕事に集中できなかったり、頭痛のために仕事を休んでしまうとの相談が多数あります。
また、頭痛がない日においても、集中力が低下したり、疲労感、イライラ感、頭痛が来るのではないかという恐怖があり、外出を控えてしまうなど日々の生活に多くの支障を抱えています。
片頭痛予防注射製剤「抗CGRP関連製剤」を投与することで、頭痛がある時だけではなく、頭痛がない時(発作間欠期)の支障も改善されることが期待できます。
期待できる効果
・注射翌月より頭痛日数が約半分になる。
・1ヶ月あたりの片頭痛日数が少なくなり、片頭痛の程度自体が軽くなる。
・急性期治療薬(トリプタン)の使用日数が少なくなる、また、急性期治療薬の反応性が高まる。
治療方法
当院ではエムガルティ、アジョビを採用しています。エムガルティ、アジョビともに1ヶ月に1本の頻度で注射します。
1ヶ月毎にクリニックで注射を行い、3ヶ月で効果があるか判定を行います。効果があるようであれば、在宅で自己注射していただくことが可能です。
自己注射と聞くととても不安に感じる方もいますが、当院でも多くの患者さんが利用しております。
多くの患者さんが自己注射を行っており、慣れるまでは当院のスタッフがサポートされていただきますのでご安心ください。
症状が安定している場合は、3ヶ月処方も実施できるため、通院に縛られずに治療を実施できるメリットがあります。
副作用
よくみられる副作用は、注射を行った部位の反応(痛み、発赤、かゆみ、内出血、腫れなど)です。注射部位の反応は、多くの場合数日程度で消失します。
その他の副作用として皮膚のかゆみ、じんま疹、発疹などの報告がありますが頻度としては少ないです。
まれに重篤な過敏症(呼吸困難、のどが締め付けられるような感じ、動悸)が出現することがあります。その際はすみやかに医療機関を受診するようお願いします。
料金
CGRP製剤は保険適応となっています。薬剤費は、保険適応で1本 約13,000円(3割負担)です。
高額となりますが、片頭痛の方には非常に有効な治療薬となっています。加入の健康保険によっては付加給付制度というものがあります。
1か月の合計窓口負担額 約50,000円 | |
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患者様の実質の負担分 25,000円 | 付加給付による払い戻し分 25,000円 |
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
皆さんはめまいを体験したことはありますでしょうか?
めまいは目の前がくるくると回転する回転性めまいをイメージしてしまいますが、ふわっと浮くような感覚やじっとしているのに周りが動いているように感じるのもめまいの一種です。
よく外来でめまいはなんで起こるのか質問を受けることがあります。
めまいの原因としては中枢性めまいといって脳が原因となる場合と、末梢性めまいといって主に耳が原因となるめまいがあります。
脳が原因となる中枢性めまいの場合は命に関わる危険性があるため、めまいを生じた時は脳の検査で中枢性めまいでないことを確認することが必要となります。
末梢性めまいは、三半規管が弱くなっていることが原因で起こっているかもしれません。
三半規管は主に平衡感覚障害の原因とされます。
今回は、めまいの原因となる三半規管が弱くなることについて詳しく見ていきます。
三半規管の主な働き
耳の中は、外耳、中耳、内耳の3つに分かれています。
三半規管は内耳にあり平衡感覚をつかさどる器官であり、半円形の3つの管があり、それぞれ前半規管、外側半規管、後半規管といいます。この三半規管にはリンパ液が入っており、体が動くことでリンパ液に流れが生じて三次元の回転運動を感知するのです。
また、内耳にはもう一つ耳石器と言われるものがあります。
耳石器は卵形嚢と球形嚢にわかれており、中には炭酸カルシウムでできた耳石という石が詰まっています。
体を動かすことにより耳石が動いて横方向と縦方向の直線運動を感知します。
この感知により、前庭感覚という自身の体の傾きやスピード、回転を感じる感覚を得ることができます。
内耳は瞬間瞬間の体の動きを察知し、体の筋肉を調整して、倒れないようにバランスをとってくれます。
三半規管が弱くなると生じやすい症状
めまい
めまいは大きく2種類に分けられ、自分自身や周囲がぐるぐる回っているように感じる回転性めまいと、もう一つは体がフラフラしたり、ぐらついたりする浮動性めまいがあります。
回転性めまいは耳の異常から生じやすく、最も多いのが良性発作性頭位めまい症です。
これは、耳石器の一部が剥がれ、体の回転加速度を感じる感覚器である三半規管に入り込むことによって起こると考えられています。
朝、寝床から起き上がるときや、頭を動かす時に、回転性のめまいが起こります。
めまいの持続時間は1分以内のことが多く、安静にしているとおさまります。
めまいは繰り返しますが、2週間〜1ヶ月くらいで自然治癒します。
良性発作性頭位めまい症の次に多いのがメニエール病です。
メニエール病は、内耳にあるリンパ液が増えて、むくみ(浮腫)を起こした状態です。
ただ、むくみの原因はわかっていません。
めまいや吐き気のほか、耳鳴りや難聴、耳の閉塞感といった症状が現れることがあります。
めまいの持続時間は数十分から数時間と比較的長いのが特徴です。
乗り物酔い
乗り物酔いには耳、目、脳などが関係しています。
車やバス、電車、船など乗り物の揺れにより不規則な加速・減速の反復を受ける内耳からの情報と、それとは異なる情報を目または体から受けて脳が混乱します。脳が混乱することによって起こる自律神経系の病的反応で、めまいや吐き気・嘔吐などの症状があらわれます。
三半規管と耳石器でとらえられた体の位置・揺れやスピードなどの情報は脳へと伝えられますが、乗り物による不規則な加速・減速、発車や停車の繰り返し、右折・左折や曲がりくねった道などによる前後左右上下への揺れなどが過度に生じると、脳への情報量が過剰になったり、耳がとらえた情報と実際に目から入る情報とにズレが生じたりすることになります。
すると、脳が情報を処理しきれなくなり、心臓や血管など循環器や胃や腸などの消化器をコントロールしている自律神経の働きが乱れることで、冷や汗や胃の不快感を始め、さまざまな乗り物酔いの症状を招きます。
また、自律神経の乱れは嘔吐中枢を刺激し、吐き気や嘔吐といった症状をもたらします。
立ちくらみ
立ちくらみは、血圧制御の異常が原因で引き起こされます。
正常な場合は、立ち上がると、重力により脚や体幹の静脈に血液が溜まります。
しかし、血液が身体の下の方に溜まることで血圧が下がり、心臓から脳に送り出される血液の量が減少し、脳に流れる血液が減ることで、めまいなどの症状が起こります。
三半規管が弱くなる原因
加齢による機能低下
年齢を重ねると三半規管だけでなく、身体のさまざまな器官が衰えます。
耳の三半規管や耳石器は加齢により感覚細胞の数が減っていきます。
耳石器は50歳以上、三半規管は70歳以上になると加齢変化が現れると言われています。
そのため、トレーニングや運動で加齢による衰えを少しでも食い止めることが必要となります。
ストレス・過労
ストレスでも三半規管は弱ります。ストレスが多いとアドレナリンという興奮性のホルモンが分泌されます。
アドレナリンにより血管が細くなり血流が悪くなります。
そして三半規管に血が足りなくなり、酸素が不足してしまいます。
三半規管はストレスに弱い器官であり、三半規管の機能が低下してしまいます。
適度な運動やリフレッシュする時間を設けるなどしてストレスを抱えないようにしましょう。
睡眠不足
睡眠不足があると、身体にストレスがかかります。
ストレスが多く交感神経ばかりが活発な状態が続くと三半規管への血液量が不足し、三半規管の機能が弱まります。
規則正しい生活を心がけて自律神経の乱れを正すことが大切です。
三半規管を鍛えるには
三半規管を鍛えるには平衡感覚を養うことが大切です。
前転や後転などのマット運動やトランポリン、ブランコ、すべり台などは平衡感覚を養い、揺れやスピードを体験できます。
・回転イスに座って少しだけゆっくり回す
・布団の上で前転をする
・自転車に乗る
・プールでぷかぷか浮かぶ
・片足立ちをして目をつぶる
・トランポリンをする
上記のことをすることで三半規管が鍛えられていきます。
また、後ろ歩きや目をつぶって歩くことも平衡感覚を鍛えられるのでおすすめです。
めまいをよく感じる方は自分に合った方法を選んで、無理のない程度から始めていきましょう。
若くてもめまいやふらつきが生じる場合には、生活習慣やストレス、過労などが原因となり、三半規管が弱まっているのかもしれません。
当院ではめまいやふらつきに関しても診察しております。
めまいやふらつきの症状が続く場合には、お気軽に当院までご相談ください。
新年あけましておめでとうございます。
2023年10月17日に開業し、早1年が過ぎ、2回目の新年を迎えました。
昨年中は多くの方にご利用いただき、心より感謝申し上げます。
今年もより一層地域に寄り添う脳のホームドクターとして、皆様が気軽に相談できるようなクリニックを作っていきたいと思っております。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
疲れた時や、運動した後などにエナジードリンクを飲んだことありませんか?
1本のみならず2-3本一気に飲む方もいらっしゃると思います。時々ならばよいのですが、頻度が多いと危険性があります。
今回はエナジードリンクの危険性について詳しく見ていきましょう。
脳の働きに作用する神経伝達物質
我々の脳の中では、細胞から細胞へ情報が伝えられることで、身体の機能が働きます。
この細胞から細胞へと情報をつなぐ部位をシナプスと言い、シナプスの間を行ったり来たりするのが神経伝達物質となります。
神経伝達物質は促進に働くものと、抑制に働くものがあります。
約20種類くらいあるとされており、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン、GABA、グルタミン酸、ヒスタミン、オレキシンなどが挙げられます。
ノルアドレナリン
ノルアドレナリンはドーパミンの代謝産物となります。
ノルアドレナリンは副腎皮質で代謝変化してアドレナリンとなります。
そのため、ノルアドレナリンとドーパミンは非常に関連がある神経伝達物質といわれています。
ノルアドレナリンは、脳の覚醒を促して高い機能を発揮するための神経伝達物質とされています。
ノルアドレナリン量が過剰になると、不安や恐怖、焦燥や取り乱す状態が出現し、代謝物であるアドレナリンも増えることで、頻脈や冷汗などが出現し、その不安や焦燥は助長されることになります。
逆にノルアドレナリン量が過少になると、覚醒度が低下し、睡眠障害が生じます。
多くの場合、レム睡眠相が変化し、入眠直後にレム睡眠が発現するため熟睡が妨げられることになります。
ドーパミン
ドーパミンのシナプス間隙への過剰な放出が起きることで、実際には存在しない刺激があったかのように伝達が生じ、その信号を受け取った脳の各部は存在を感じてしまいます。
この信号を受け取った部分が反応することによって、幻聴や幻視などの幻覚や妄想といった症状を作り出してしまいます。
逆にドーパミンの放出量が少なくなると、意欲障害や認知機能障害などの症状が出現します。
セロトニン
セロトニンは、トリプトファンという必須アミノ酸から合成されます。
必須アミノ酸は、体内では大量に作り出すことができません。そのため、食物などから大半を摂取しなければならないのです。
トリプトファンは、一般的にはタンパク質を多く含む食材に多く含まれており、肉や魚といった動物性タンパク質や豆類などの食物性タンパク質に多く含まれています。
セロトニンは、他の神経伝達物質によって行われる精神活動を監視して、不安定な状態を補正して精神状態の安定化を図ります。
セロトニンの量が不足すると、すべての機能が低下することになり、身体機能面では、体温調節不全、血管の収縮機能の変化による血圧変動や血管性の頭痛、腸管蠕動不全による下痢や便秘などの症状となって現れます。
精神活動の変化としては、抑うつ気分、不安、脅迫観念、パニック発作、睡眠障害、食欲の異常などを引き起こします。
GABA
神経伝達物質のGABAは、γアミノ酪酸の略称です。
GABAの神経伝達物質としての機能は、興奮に対する抑制と言われています。
脳内で興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸から脱炭酸酵素によりつくられるのですが、グルタミン酸とGABAの機能は真逆となります。このような生合成経路にすることで神経の興奮と抑制のバランスを取っているのです。
GABAは役目を終えると分解酵素によって、他のアミノ酸を効率よく合成する回路に取り込まれて新しいアミノ酸へと姿を変えます。
外的な過剰な刺激を察知すると、脳の大脳辺縁系においてストレス反応系神経ネットワークの興奮が高まります。さらに刺激量が増すか、刺激継続が一定以上の時間を超えると、過剰な神経興奮反応を抑えるという安全機構が備わっています。
その生体機能の防御機構は、抑制系神経といわれており、その神経系等を神経伝達物質であるGABAが調節しています。
オレキシン
オレキシン神経は視床下部に存在し、そこから脳と脊髄のほとんどの領域に軸索を投射しています。
オレキシンが欠損すると、覚醒を維持できずに場所や時間を選ばずに眠ってしまうナルコレプシーという睡眠障害になってしまいます。
また、オレキシンが欠損すると痛みを感じやすくなり、普段は痛みとして感じないような刺激でも痛く感じるようになります。
逆にオレキシンが活性化すると、痛みを感じにくくなるために、痛みを感じるような刺激でも痛さを感じないようになります。
スポーツなどの運動活動時や興奮時には、オレキシンが活性化していると考えられ、痛みを感じにくくなりますが、落ち着いてくると痛みを感じ始めます。
エナジードリンクの危険性
エナジードリンクで覚醒するメカニズム
カフェインは、脳内で眠気を作り出すアデノシンという物質をブロックします。
これにより中枢神経を覚醒させることにより、集中力の向上、眠気、倦怠感の抑制を引き起こすのです。
しかし、これは疲労が回復していくわけではなく、一時的に自分のパフォーマンスを上げている状態で、過剰に摂取してしまうとカフェイン中毒になってしまいます。
エナジードリンクには、1本あたり約80-140mgのカフェインが含まれています。
コーヒー1杯あたり80-90mgのカフェインが含まれていることと比較すると、そのコーヒーよりも多く含まれていることがわかります。
カナダ保健省では健常な成人は最大400mg/日(コーヒーをマグカップ(237ml入り)で約3杯)までとすると推奨されています。
そのため、3本以上飲むとカフェイン中毒になる可能性が高くなります。
カフェイン中毒
カフェイン中毒とは、一度にカフェインを過剰に摂取すると急性中毒が起こり、摂取することをやめられなくなってしまうことです。
初期の中毒症状は、精神症状では緊張、知覚過敏、多弁、不安、焦燥感、身体症状では胃痛、胸痛、吐き気、心拍数増加、呼吸促迫などが挙げられます。
重度となってくると、精神症状では精神錯乱、妄想、幻覚、パニック発作、衝動性、身体症状ではけいれん、頭痛、過呼吸などが挙げられます。
1グラム程度の摂取で中毒症状が人によって出始め、2グラムの摂取で多くの人に中毒症状が出てきて、5グラムの摂取で重篤な副作用が発生し、7グラムの摂取で致死量に至るとされています。
2011年度から5年間に101人が救急搬送され、7人が心肺停止となり、3人が死亡となるほど危険です。
エナジードリンクは安易に入手できるため、ついつい飲んでしまいたくなりますが、飲み過ぎには注意していきましょう。
こんにちは、毎日頭痛外来をしている福岡県糟屋郡新宮町の「しろうず脳神経外科」です。
痛み止めとしての鎮痛薬はさまざまな種類があります。
頭痛外来をしていて「〇〇の方が強いと言われているから」「〇〇を飲むと胃を荒らすから」という言葉をよく聞きます。それでは痛み止めの強さはどう違うのでしょうか?
今回は、鎮痛薬の強さランキング、頭痛に効くのか、副作用について詳しく見ていきます。
第1位:トラマドール(トラマドール、トラムセットなど)
効果:オピオイド受容体への結合、モノアミン再取り込み阻害作用により強い痛みを抑える働きがあります。
通常、非オピオイド鎮痛剤で治療困難ながん疼痛、慢性疼痛の治療に用いられます。
副作用:頭痛 、 傾眠 、 浮動性めまい 、 悪心 、 嘔吐 、 便秘 、 食欲減退 、 口渇 、 倦怠感 、 浮腫
トラマドールは、鎮痛作用がとても強いですが、主な副作用として頭痛があります。
そのため、頭痛がある方は、この薬は極力避けるようにしましょう。また、頭痛を抑える目的で使うことは控えましょう。
第2位:ジクロフェナク(ボルタレン錠、ボルタレンSR、ボルタレンサポ)
効果:切り傷、火傷、打撲、骨折、抜歯後の痛み、一部の頭痛、生理痛、関節リウマチなどの炎症性の痛みなどの「侵害受容性疼痛」と呼ばれる痛みに対して主に効果を発揮します。
副作用:浮腫 、 食欲不振 、 胃痛 、 腹痛 、 下痢 、 口内炎 、 口渇 、 便秘 、 出血傾向 、 皮膚そう痒症 、 発疹
ボルタレンは頭痛に効かないということではありません。
しかし、ボルタレンの添付文書には「頭痛」に対して効果を示す旨は記載されていないです。
ボルタレンはロキソニンより効くまでの時間が遅いですが、鎮痛効果が強いとも言われています。
実際のところは個人の相性の問題となりますので、それを踏まえて選ぶ必要があります。
第3位:ロキソプロフェン(ロキソニン)
効果:炎症が起きている時に作られるプロスタグランジンなどの活性物質を抑制することによって、解熱作用、鎮痛作用、抗炎症作用が発揮されます。
副作用:浮腫 、 発疹 、 そう痒感 、 胃部不快感 、 食欲不振 、 下痢 、 便秘 、 胸やけ 、 口内炎 、 口渇
・胃潰瘍
プロスタグランジンは胃粘膜を保護する作用があります。そのため、非ステロイド抗炎症薬によりプロスタグランジンの合成が抑制されることによって、引き起こされる危険性が上がります。長期間にわたり内服する場合には胃薬を併用することが望ましいです。
・腎機能障害
同じようにプロスタグランジンなどの抑制により腎血流が低下することや薬剤自体の副作用の可能性が考えられています。もともと腎機能が低下している方や多数の薬剤を内服していることが危険因子であり、用法用量を守って内服することが必要です。
・喘息
詳しいメカニズムは解明されてはいませんが、薬剤に対する過敏な反応と考えられています。アスピリン喘息とも言われます。
第4位:セレコキシブ(セレコックス)
効果:炎症部位のシクロオキシゲナーゼ-2を選択的に阻害してプロスタグランジンの合成を抑えることで、消炎・鎮痛作用を示す薬です。関節リウマチや変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎などの治療に用いられます。また、手術後、外傷後、抜歯後の消炎・鎮痛にも使用されます。
副作用:β2-マイクログロブリン増加 、 消化性潰瘍 、 倦怠感 、 口渇 、 末梢性浮腫 、 傾眠 、 頭痛 、 浮動性めまい 、 味覚異常 、 ALT増加
セレコックスの副作用のひとつに頭痛があります。そのため、片頭痛や緊張型頭痛などの鎮痛目的には使用しません。セレコックスはロキソニンと比較し、胃や腸に対する負担が軽くなるように設計されています。
そのため、鎮痛効果に関してはロキソニンより劣ります。
第5位:アセトアミノフェン(カロナール)
効果:脳の中の発熱や痛みの情報を伝える物質を抑える作用があることから、頭痛の症状緩和に利用できます。
子どもや妊婦・授乳中の方でも使用でき、胃腸の影響が少なく、眠気を起こさないことが特徴です。
内服では1〜2時間後で血中濃度が最高に達し、8時間で血中から消失します。
副作用:
・肝機能障害
アセトアミノフェンは肝臓で代謝される薬であり、長期間、多くの量を使用すると肝機能障害を起こすことがあります。アルコール肝炎など肝機能がもとより悪い方は注意が必要です。
・他の薬剤の作用増強や減弱
薬の代謝の関係でリチウム製剤や一部の高血圧の薬、ワルファリンなどの作用が増強したり、減弱したりすることがあります。
頭痛に効果的であるのは、ロキソニン、カロナールがメインとなってきます。NSAIDsとしてナイキサンや、ピリン系を含む4つの有効成分からなる解熱鎮痛薬としてSG配合顆粒など当院ではさまざまな鎮痛薬を取り扱っております。
頭痛でお困りの際は、当院へお気軽にご相談ください。